最近よく耳にするようになった「MBTI診断」
SNSでは「私はINFP」「彼はESTJだった」なんて会話も見かけるようになりました。でもこの診断は、ただの性格占いではありません。
人とどう関わるか、自分はどんな時にストレスを感じやすいのか。そんな“自分の取り扱い説明書”のようなヒントが、ぎゅっと詰まっています。
実際に診断を受けてみると、「あ、これ私のクセかも」「だからあの人とすれ違いやすいのか」と、思わず腑に落ちる瞬間があるはずです。
恋愛に限らず、職場の人間関係や友人とのやりとりなど、人と関わるすべての場面で、「自分を理解しておくこと」は、心地よい出会いの準備になるのです。
MBTIってなに? “自分らしさ”を見つけるヒント
SNSで話題のMBTI、その正体は?
最近SNSで「私はINFPだった」「彼はESTJっぽいかも」など、4つのアルファベットが並ぶ投稿を見かけることが増えました。
一見すると暗号のようですが、これはすべてMBTI(Myers-Briggs Type Indicator)という性格診断テストのタイプ名を表したものです。
MBTIは、もともとアメリカで開発された心理学ベースの診断。
自己理解を深めるためのツールとして、企業研修やキャリア支援などでも広く使われています。
ただし、占いのように「当たっているかどうか」を楽しむだけで終わるものではありません。
MBTIは自分の“考え方や行動のクセ”に気づき、それをどう扱うかを学ぶための地図のような存在なんです。
心理学をベースにした“16タイプ診断”
MBTIでは、人の性格を4つの視点から見ていきます。それぞれに2つの傾向があり、組み合わせると全部で16タイプに分類されます。
難しく聞こえるかもしれませんが、考え方の“クセ”や“反応の傾向”を整理するための枠組みとして、とてもシンプルです。
ここで紹介する4つの視点と2つの傾向は、以下の通りです:
I(内向型):一人の時間でリフレッシュするタイプ。内面の世界に意識が向きやすい。
N(直感型):一人の時間でリフレッシュするタイプ。内面の世界に意識が向きやすい。
F(感情型):人の気持ちや場の空気を大切にする傾向。共感や調和を重視する。
P(柔軟型):流れに任せて柔軟に対応したいタイプ。変化に開かれている。
この4つの軸それぞれで、自分がどちらの傾向に近いかを見ていき、たとえば「ENTP」「ISFJ」のようなタイプが導き出されます。
ただし、診断といっても、どれが“良い”とか“正しい”という話ではありません。
MBTIを「決めつけ」のツールには決して使わないでくださいね。
自分がどのタイプに傾きやすいのか、どんな場面でストレスを感じやすいのか。そうした傾向を知るための、ひとつの“視点”だと捉えるといいと思います。
たとえるなら、自分の性格を顕微鏡で覗いてみるような感じかもしれません。
ふだん無意識にやっている行動の“裏側”にある思考のパターンが、少しずつ見えてくる。
その気づきが、人との関わり方にも少しずつ影響してくるのです。
自分の傾向に気づくことからすべてが始まる
私自身もMBTIを受けたとき、「あ、これはまさに自分のクセだ」と思うポイントがいくつもありました。
たとえば、人の話を聞きながら、無意識に「どうすればこの人が前に進めるか」と考えてしまったり、つい遮って自分のアイデアを話してしまうのはまさにクセのようなもの。
でもその一方で、こんなふうにも書かれていました。
「成長するにつれて、人の話にじっくり耳を傾け、相手との関係を丁寧に育てようとするようになります」
そこから自分の中にある未熟さも、未来への伸びしろとして受け取ることができたのです。
だからこそMBTIは、診断をして終わりではなく、「これからの自分」を育てていくプロセスの一歩になり得ると思っています。
MBTIはなぜ「出会い」に役立つのか?
自分のコミュニケーションスタイルが見えてくる
人との関係の中で、「なんだかうまく話せなかった」「なぜかモヤモヤする」という場面は、誰にでもあると思います。
でもその正体が、自分の“話し方”や“聞き方”のクセから来ているとしたらどうでしょうか。それに気づけるだけで、人との関わり方はぐっと楽になります。
たとえば、外向型(E)の人は、会話の中でテンポよく言葉を返したいと感じやすく、内向型(I)の人は、少し間をとってじっくり考えてから話す方が心地いいと感じる傾向があります。
どちらが正しい、ということではありません。ただ、その違いを知っておくだけで、「待ってみよう」「焦らなくていい」と思えるようになるのです。
MBTIは、そんな“自分の関わり方のパターン”に気づかせてくれます。
それは、無理に自分を変えるためではなく、「自分らしくいながら、相手と心地よくつながる」ためのヒントになるのです。
すれ違いの原因が“性格の違い”だと気づける
出会いの中で、相手の言動に戸惑ったり、傷ついたりすることもあるかもしれません。
「どうしてあの人は、あんなに白黒つけたがるんだろう」
「なんで私は、そんなに気にしすぎちゃうんだろう」
そう思ったときに、MBTIの視点を持っていると、「もしかしたらこれは、タイプの違いなのかも」と考える余地が生まれます。
たとえば、J(判断型)の人にとっては、「予定を立てること=安心」だけど、P(柔軟型)の人にとっては、「予定は流動的なもの」という感覚が自然だったりします。
この違いを知らないままだと、「あの人はせっかち」「私はだらしない」といった自己否定や他者否定につながってしまうことも。
でも、MBTIを通じてタイプの違いを知っていれば、そこに優しい相互理解が生まれやすくなります。
MBTIを「合う・合わない」ではなく「違いを理解する」視点へ
MBTIは、「このタイプとこのタイプは相性がいい」「この組み合わせはうまくいかない」といった“決めつけ”のためのものではありません。
むしろ、違うタイプだからこそ補い合えることもあれば、似ているからこそぶつかることもあるのが人間関係。
だからこそ、MBTIは「合う/合わない」の診断ではなく、「どう違って、どう関わるといいのか」を考えるためのツールとして使っていくのが、本来の目的です。
相手との違いに戸惑ったとき、
「タイプが違うからこそ、こんなふうに伝えたらいいかも」
「きっと、こういう考え方をしているのかも」
そうやって理解しようとする姿勢そのものが、人間関係の緊張をやわらげ、心地よいものに変えてくれます。
MBTI診断から得られる気づきと変化
弱点も“伸びしろ”として見つめ直せる
今から数年前、私がMBTIを受けたとき、最初に出てきたのは「ENTP」というタイプでした。
(ネットではなくて有資格者の方と対面で質問される答える診断スタイルでした。やり方もいろいろ。)
そんな風に書かれていて、「あ、それ私かも」と思ったのを覚えています。
でも、同時にこうも書かれていました。
「自分の考えに自信を持ちすぎてしまう」
「相手を批判的に見てしまうことがある」
正直、ドキッとしました。
たとえば、人の話を聞いている最中でも「こうしたらいいのに」と頭の中で未来の解決策を考えてしまって、つい会話の流れを止めてしまったり。
相手がゆっくり考えていると、「なんでこんなに時間がかかるの?」とイライラしてしまうこともありました。
それは性格のせいではなく、“自分の傾向”に気づいていなかっただけ。
知ったからこそ、「相手のペースを尊重する」という意識が少しずつ芽生えてきた気がします。
関係づくりに活かせる、自分だけのヒントになる
MBTIの良さは、「あなたはこういう人です」と断定するのではなく、
「こういう傾向があるけれど、そこに気づいたらどう活かす?」という問いかけを与えてくれるところにあると感じています。
たとえば私の場合、「常に新しいアイデアを求めてしまう」「今に満足しづらい」という特性を知ったことで、
「じゃあ、安定を好む相手と関係を築くには、どんな伝え方が必要だろう?」
「どうしたら“今ここ”にも目を向けられるだろう?」と、日常の中で少し立ち止まるようになりました。
性格を無理に変える必要はありません。
でも、自分の行動や感情の“なぜ”に気づけるだけで、関係の質は少しずつ変わっていくのです。
私がMBTIから受け取ったメッセージとは
人との関係がうまくいかないとき、以前の私は「相手が悪いのかも」「なんでわかってくれないんだろう」と思っていたことがありました。
でもMBTIを知ってからは、「まず自分がどんな関わり方をしているか」を見つめるようになりました。
たとえば、自分の考えを言いたくなったときに、いったん相手の話を最後まで聞いてみる。
「なんで黙ってるの?」と感じたときに、「この人にとって、沈黙は思考の時間なのかも」と考えてみる。
そんなふうに、ほんの少し相手の内側を想像できるようになっただけで、
人とのやり取りがずいぶん楽になりました。
MBTIがくれたのは、「理解する」ことのスタートライン。
それはきっと、これから出会う誰かと心を通わせるための、静かで力強い準備になるのだと思います。
信頼できる無料診断サイトを紹介
信頼できる無料診断サイトを紹介
MBTIの診断は、今では日本語でも手軽に受けられるようになっています。
スマートフォンで10分ほどの質問に答えるだけで、自分のタイプがわかります。
大切なのは、「結果が正解かどうか」にこだわることではなく、自分の内面を見つめ直すきっかけになるかどうかです。
「そうか、私ってこういうところがあるかも」と思えたら、それが第一歩。
この記事の中でもタイプの特徴を紹介してきましたが、それらを読みながら自分に近い傾向を探してみるだけでも、立派なセルフチェックになります。
▼たとえば、こんな診断サイトがあります:
・16Personalities
時間に余裕があるときにじっくり取り組みたい本格派。質問数は多めですが、そのぶん丁寧な解説も魅力です。集中力のある日にチャレンジするのがおすすめ。
・mottoLab MBTI診断
たった15問、30秒ほどで終わるお手軽バージョン。ちょっとした気分転換にもぴったりです。気軽に試したい方におすすめ。
ちなみに、今回記事を書くために改めてやってみたら「INFJ」と出ました(前回はENTPだったのに…!)。
心の状態や置かれている環境によって、結果が少し変わることもあります。
だからこそ「正解を知る」のではなく、「自分の今を見つめるツール」として付き合ってみてくださいね。
タイプにとらわれすぎないことも大切
診断の結果が出ると、「私はこのタイプだからこうなんだ」と思い込んでしまいがちです。
でも、MBTIは“ラベル”ではありません。
あくまでも、今の自分にとっての傾向やクセを知るヒントにすぎません。
人は日によって、状況によって、いろんな面を持っています。
たとえば、普段は外向的な人でも、大切な場面では一人で考える時間が欲しくなることもあります。
タイプに自分を当てはめようとするより、「自分の中にそういう面があることを知る」という姿勢が、何より大切です。
自分との対話が、心地よい出会いのはじまり
誰かと心を通わせるには、まず自分の心に耳を澄ませることが必要です。
「私はどんなときに安心するんだろう」
「人との関わりで、何に疲れてしまうんだろう」
MBTIは、その問いにそっと光を当ててくれるツールです。
自分を知ることは、ほんの少し勇気のいることかもしれません。
でも、それができたとき、出会いはぐっとやさしく、豊かなものに変わります。
ぜひ、気軽に試してみてください。新しい自分に出会えるかもしれません…!