40代くらいの女性2人が仲良くくっつきあっている写真

【医師監修】更年期のホルモン治療とは?自分に合った方法を取り入れよう

2024.11.05
中里 泉 先生
監修
中里 泉 先生
あらかきウィメンズクリニック
日本産科婦人科学会認定専門医/医学博士
専門:生殖内分泌、性感染症
所属学会:日本産科婦人科学会 日本生殖医学会
この記事のポイント
  • 更年期と更年期障害
    更年期は閉経前後の10年(45~55歳ごろ)の時期をさします。この頃のホルモン変動に伴いカラダに何かしらの変化(更年期症状)が現れ、日常生活に影響が出るほどの強い症状が出る場合を「更年期障害」といいます。

  • 治療方法
    生活習慣や食生活の改善、漢方やホルモン補充療法など薬を使用した治療など、症状に合ったさまざまな治療方法があります。

  • 知っておきたいリスク
    ホルモン補充療法では症状改善や骨粗しょう症の予防ができる反面、副作用や血栓症・乳がんリスクが高まることもあります。病歴によっては治療ができない場合や、体質や状態で処方される薬も異なるため、婦人科への相談をお勧めします。

更年期は、女性ホルモンの変化によって心身ともにさまざまな変化が現れます。
更年期はすべての女性が経験しますが、更年期の症状は個人差が大きく、中にはホルモン補充療法などの治療が必要な方もいます。(この記事ではホルモン治療と記載)
この記事では、更年期の治療や副作用、治療の流れなどをご紹介します。

更年期とは

50の数字のロウソクを立てているケーキ

更年期とは、閉経の前後10年、おおよそ45歳〜55歳ごろの時期をさします。

更年期には、女性ホルモンの変化から、さまざまな症状が現れます。
症状が強く、日常生活などに影響が出る場合を更年期障害と言います。

更年期障害の症状

更年期症状は人によりさまざまですが、一般的な症状は以下のとおりです。

【自律神経失調症状】
ホットフラッシュ(急なほてりやのぼせなど)、発汗(汗が止まらなくなる)、動悸、頭痛、めまい、肩こり、胸の痛み、倦怠感(体のだるさ)

【精神症状】
イライラ、意欲低下、気分の落ち込み、不眠

【運動器症状】
腰痛、関節の痛み、筋肉痛、手のこわばりやしびれ、むくみ

【消化器症状】
食欲不振、便秘、下痢、腹痛

【皮膚粘膜症状】
乾燥、湿疹

【泌尿器・生殖器症状】
排尿障害、頻尿、性交痛、フェムゾーンのかゆみ、不正出血(生理以外のタイミングで出血する)

更年期障害の治療方法

水色とピンクのバイカラーの背景に、コップに入った水と薬とそのケースが置いてある写真

更年期の治療方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは一般的な治療方法をご紹介します。

ホルモン補充療法(HRT)

ホルモン補充療法とは、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)を補う治療法です。
女性ホルモンを補うことで、代表的な更年期症状である多汗やのぼせ、ほてりなど症状の改善が期待できます。

子宮がある方と過去に子宮を摘出した方では使う薬が異なります。
薬は錠剤タイプの飲み薬とパッチタイプの貼り薬や塗り薬があり、状況に合わせて医師が処方します。

記事の後半により詳しい解説があるので、そちらも参考にしてください。
ホルモン補充療法以外にも、有効とされる治療法もあるので、合わせて紹介します。

「ホルモン補充療法」という単語は、以下の文章では「ホルモン治療」と表現を統一して使用します。

抗うつ薬などでの治療

更年期障害の中でもうつや不安など精神的な症状が強い場合や、ホルモン治療で効果がない場合は、抗うつ薬や抗不安薬などが使われることがあります。

精神的な症状が強く、日常生活に影響が出ている場合は、治療と並行してカウンセリングや精神科の受診が効果的です。

漢方での治療

漢方で治療する方法もあります。
薬での治療方法、ホルモン治療は心臓などに持病がある場合できないため、症状に合わせて漢方を処方されることがあります。

漢方薬は体の免疫機能をサポートし、全身のバランスを整える役割があり、薬での治療と比べるとゆるやかな作用のため、改善を実感しにくいですが、副作用が少ないというメリットがあります。

漢方薬によりイライラやホットフラッシュなどの症状が改善する人もいます。
漢方薬は種類が多いため、体の状態に合わせてとり入れることができるでしょう。

生活習慣の改善

薬以外での治療方法として、生活習慣の改善を目指します。
仕事や生活状況など、人によって環境やライフスタイルは異なるため、まずはヒアリングを行います。

その後食生活を中心に、生活習慣改善のため指導をすることが一般的です。
食生活では以下の内容に注意するよう指導されることが多いでしょう。

カルシウムの摂取

女性ホルモンのエストロゲンが少なくなることで、カルシウムが不足するため、摂取が推奨されています。
閉経後は骨粗しょう症のリスクが高くなるため、積極的にとりたい栄養素です。

イソフラボンの摂取

大豆製品に多く含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きがあると言われています。
そのため、大豆製品を積極的にとることを勧められることが多いでしょう。
大豆製品は豆腐や納豆など、スーパーで購入しやすいので、とり入れやすいですね。

ビタミンE

ビタミンEは、強い抗酸化作用があり、老化防止だけでなく、ホルモンや神経を調節する働きがあります。
アーモンドやかぼちゃ、アボカドなどに多く含まれます。月経不順にも効果的と言われているため、意識してとりましょう。
ビタミンEは脂溶性のため、油を使って調理するとより効率的に栄養がとれますよ。

更年期のホルモン治療について

更年期のホルモン治療は、分泌が少なくなった女性ホルモンを補うことで更年期障害の症状の緩和や予防、改善を目的とした治療方法です。

まずは医師に相談しよう

更年期症状のすべての原因が、エストロゲンの減少だとは言えません。
精神的・身体的・社会的要因などさまざまな要因により症状が出ている可能性があります。
ホルモン治療が万全な治療方法ではないことを知っておきましょう。

自分の症状が何が原因なのかわからない方も多くいるでしょう。
自己判断ではなく、医師と相談して決めましょう。

リスクが伴うことも知っておこう

ホルモン治療を受けることで、更年期症状の改善、骨粗しょう症の予防ができます。
しかし、ホルモン治療には副作用があります。

血栓症、乳がんのリスクが上がることもあるのでしっかり医師に相談し、リスクが伴う治療法であることは知っておきましょう。

治療が受けられない人がいる

ホルモン治療は誰でも受けられるわけではありません。次に当てはまる人は治療できません。

・子宮体がんの治療中
・乳がん治療中または乳がん経験がある
・過去に脳梗塞になった
・過去に心筋梗塞となった、診断された
・妊娠中
・過去に血栓症になった、静脈瘤がある
・原因不明の不正出血がある
・重度の肝臓機能障害がある

治療の副作用がある

発症の個人差はありますが、治療には副作用が出ることがあります。
一般的に言われている副作用は以下のとおりです。

・吐き気
・頭痛
・胸の張りや痛み
・不正出血
・乳がん
・子宮体がん
・まれに心筋梗塞や脳梗塞、脳出血など

ホルモン治療の種類

ホルモン治療にはさまざまな種類があります。
ここからは種類とその特徴について紹介します。

経口剤

まずは、一般的な飲み薬での治療方法です。
簡単で便利ですが、胃腸や肝臓に負担がかかることがあるため、胃腸の調子に左右されてしまいます。

経皮剤

皮膚から薬を投与する方法です。お腹に貼るタイプと、ジェル剤という皮膚に塗り込むゼリー状の塗るタイプがあります。
皮膚から薬を吸収するため、飲み薬よりも胃腸や肝臓への負担が少ないと言われています。
ただ、皮膚アレルギーがある方や、肌が弱い方は、かゆみやかぶれなどの肌トラブルが起こることがあります。

更年期のホルモン治療の方法

緑の背景に子宮を鮮やかな生花で模した写真

更年期のホルモン治療は、子宮がある人と摘出した人で異なり、薬の組み合わせ方もさまざまです。
ここからは治療方法の種類と選び方について紹介します。

子宮がある場合

子宮がある場合、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を補う薬を使うことが一般的です。
エストロゲンは子宮内膜を厚くする作用もあるため、子宮体がんのリスクが高くなってしまいます。そのため、プロゲステロンも合わせて処方されることが多いでしょう。

エストロゲンとプロゲステロンの2種類が含まれた薬を飲む、もしくは貼り薬での処方があります。
投与方法は医療機関や症状によって異なるため、医師と相談しましょう。

子宮を摘出している場合

子宮摘出している場合は、子宮体がんのリスクがありません。
そのため、プロゲステロンを使用する必要がないため、エストロゲンのみ投与します。

エストロゲンは飲み薬、貼り薬、塗り薬と種類があります。
これらはすべて保険適用範囲内のため、症状などに合わせて相談しましょう。

ホルモン治療の流れ

ホルモン治療をする場合、どのような流れで治療を進めるのでしょうか。
治療方法にはいくつか種類があります。
医療機関によって多少異なりますが、一般的な方法をご紹介します。

子宮を摘出した場合:エストロゲン単独療法

子宮を摘出した方は、エストロゲン単剤で治療を行います。

【持続的投与方法】
エストロゲンを休まずに毎日続けて使う方法です。

子宮がある場合:プロゲステロン・エストロゲン併用療法

子宮がある方は、先述のとおり子宮体がんのリスクがあるため、プロゲステロンとエストロゲンを併用しながら治療を行います。

周期的併用法(持続法)

エストロゲンは毎日休まずに服用しつづけ、プロゲステロンのみ毎月1日から10日間服用します。プロゲステロンを服用し終わった後に、たいてい月経のような出血がありますが、出血のないときもあります。閉経前後の更年期症状の強い人に使われることが多いです。
※プロゲステロンは10~14日間服用する場合もあります。

周期的併用法(間欠法)

閉経前後の女性に使われることが多い治療方法です。
エストロゲンを21〜25日服用し、プロゲステロンを10〜12日服用します。その後、5〜7日の休薬期間があります。エストロゲンとプロゲステロンは同じタイミングで飲み切るように調整します。
休薬期間に月経のような出血がみられることが多いです。

持続的併用法

エストロゲンとプロゲステロンの両方を毎日服用する方法です。
3~6カ月間は不正出血があることもありますが、徐々に出血はみられなくなるでしょう。
閉経後数年たった女性に使われることが多いです。

ホルモン治療に関するQ&A

ホルモン治療を始める場合、不安なこともありますよね。いつ頃から始めるのがいいのかなど、基本的な質問をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

いつから始めたらいい?

ホルモン治療を始めるのは、閉経前〜閉経後早期の時期がベストタイミングです。

ホルモン治療は、エストロゲンの急激な減少のスピードを緩やかにし、症状をやわらげます。
そのため、閉経前後に始めると最も効果的と言えます。

効果が出るまでどのぐらいかかる?

つらい症状の改善まで、どの程度時間がかかるのでしょうか。
個人差がありますが、ほてりや発汗などの自律神経症状は、効果が出るまで2週間〜3カ月程度と言われています。

肌のトラブルや性交痛などは予防効果が高いですが、症状が出てからでも遅くありません。
治療をすぐに中断すると症状がぶり返すこともあります。
効果が出たからといって、治療を中断することはやめましょう。

ホルモン治療をやめるタイミングは?

ホルモン治療を一度始めると、いつまで続ければいいのかと悩む方もいるでしょう。
ホルモン治療の継続を制限する一律の年齢や投与期間はありません。
ただし、5年以上の場合は、乳がんリスクの上昇について主治医と相談した上で治療を継続するか検討します。

一方で、ホルモン治療を継続することで大腸がん死亡率低下や骨代謝、脂質異常への利益があることから、リスクとベネフィット考慮して1年に1度継続するか相談しましょう。

更年期症状がつらいときは我慢せずに婦人科へ相談しよう

女医がPCを触りながら女性患者と対面指定している写真

更年期症状は個人差が大きく、日常生活に支障が出るほど症状が強い人もいます。
その場合は治療が必要になることもあるので、我慢せずに婦人科へ相談しましょう。
治療方法はいくつかあるため、症状に合わせて最適な方法を選択してくれます。体の状況に合わせながら最適な方法を選択しましょう。

この記事を書いた人

オドリバ編集部サムネイル

オドリバ編集部

「オドリバ」は女性の悩みに寄り添うメディア。性・カラダ・こころをメインテーマに、ライフステージを駆け上がる女性たちがひと休みできる「踊り場」のように、こころの拠り所になることを目指し誕生しました。

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