性的同意と聞くけど、実際どんなものなのか。必要な理由や具体的な方法について解説しています。
性的同意を得るために、記事のチェックリストを参考にして相手のことを考えて行動しましょう!
断りたいけど嫌われないか不安…など様々な疑問にお答えしています。
「本当は性行為をしたくないけれど断れなかった」「嫌われたら嫌だから断れない」という経験をしたことがある方もいるでしょう。
そのような人の心と体を守るために近年、「性的同意」の考え方が知られるようになりましたが、日本ではまだあまり根付いていない考え方です。
必要な理由や、大切な考え方、どのように確認したらいいのかなどを紹介します。
性的同意とは
性的同意は体に触れたり、性行為をする前に、相手の同意を得ることです。
たとえ恋人や夫婦間であっても、性的な接触をする前には、性的同意が必要です。
付き合っているから必ず応じる必要があるのではなく、相手が受け入れるかどうかは自由です。
合意がなければ、すべて性暴力(レイプ)になり得ます。
また、セックスなどの接触だけでなく、性的な言動も含みます。
性的同意が必要な理由
体調や気分によって、今日は嫌だなと思う日もあるでしょう。
他人と何かをするときには、「どこへいく?」「何を食べる?」と提案したり、同意を得たりするでしょう。それは性行為でも同じです。
お互いに意見を言ったり、気持ちを伝えられたりすることが理想です。
特に、性行為は個人のプライバシーに関わることです。
性的同意に対する理解が不十分だと、相手を傷つけてしまったり、性暴力などの性被害につながる可能性があります。
お互いにコミュニケーションをきちんととることが、相手を守ることにつながるのです。
性的同意はどうやって確認する?
今後性行為をする場合、どうやって確認したらいいの?思う方もいるでしょう。
手をつないだり、体に触れたりする前に相手に尋ねることが大切です。
ここからは、性的同意についての考え方と、確認方法を紹介します。
性的同意は思いやりが大切
性的同意を確認するときは、まず思いやりをもちましょう。
また、適切な場所や環境かどうかも重要なポイントです。
1:無理やりではなく、拒否できる環境である
まず、相手は合意しているか、そして、拒否できるような環境が整っているかを確認しましょう。
なんとなくしたくないな、今日は嫌だなと思う時は、拒否できなければなりません。
相手が「NO」と言えること、NOと言ってもいいと思えるような環境や関係性をつくることが大切です。
NOと言えない雰囲気を作っていないか、相手の立場にたって考えられているかを確認しましょう。
2:権力や地位に左右されない平等な立場
権力や地位によりNOと言えない状況を作っていませんか?
本人にそのつもりがなくても、仕事や今後の生活へ影響が出るのではないかと思うと、断れないという状況になってしまいます。
平等な立場であること、拒否しても影響がないことを伝えましょう。
3:一度の合意が他の行為への承認にはならない常に「やめる」選択肢がある
家に行ったから、2人でお酒を飲んだから、キスをしたから性行為もOKと判断するのはNGです。
相手がどう思っているかは、きちんとコミュニケーションをとらなければわかりません。とりましょう。あいまいにせず、積極的にコミニュケーションをとり、話し合っておきましょう。
4:「したい」という意志が明らかである
「したい」のか「したくない」のか、相手の意向を必ず確認しましょう。
相手がしたいという言わないかぎり、同意を得ているとは言えません。また、拒否されなかったからいいということでもありません。
一方的に解釈せず、コミュニケーションをとりましょう。
性的同意の具体的な方法
性的同意をどのように確認したらいいのかわからないという方もいるかもしれません。
お互いに心地よい関係性でいるためには、どのようなポイントを意識するべきなのか、ここからはより具体的に解説します。
1:必ず言葉で確認する
まず、必ず言葉で確認しましょう。
相手がどう思っているか、真意は理解できません。
その場の雰囲気や相手の表情や仕草ではなく、言葉ではっきりと、具体的に知る必要があります。
また、同意を押しつけたり、強要したりしてはいけません。
「したいんだけど今日はどう?」「嫌じゃない?」などとやさしく聞いてあげましょう。
パートナーと自分だけがわかるサインや言葉などを決めることもおすすめです。
2:お互いの気持ちを伝えあう
お互いの気持ちを必ず確認しましょう。
体に触れる場合は、すべて相手の許可が必要です。
パートナーを傷つけないためにも、どう思っているのか、聞きましょう。
そして、どちらかが嫌だなと思ったら尊重できることが大切です。
3:断ってもいい雰囲気をつくる
今日は嫌だと思っていても、断ると機嫌が悪くなる、雰囲気が悪くなることからNOと言えない状況を作っていないか確認しましょう。
また、相手が自分の意思を尊重してくれない場合、対等な関係ではありません。
顔色をうかがって断れない雰囲気を作っていないか、振り返りましょう。
性的同意が確認できないとき
お酒を飲んで酔っていた場合など、正しい判断ができないときもあるかもしれません。
また、相手の返事があいまいだったり、答えが得られなかったりすることも考えられます。
そのときは一旦止めて、明確に意思表示が得られるまでは、なにもしないようにしましょう。
性的同意のポイント
同意を得るためには、どのようなポイントに注意する必要があるのでしょうか。
普段の行動を見直すきっかけにもなるため振り返ってみましょう。
性的同意のチェックリスト
あなたは普段から確認できていますか?チェックリストを用いて確認しましょう。
- 2人きりでのデートなら性的接触も許される
- キスを拒否されなかったら性行為もしていい
- 相手がイヤと言うのは恥ずかしいからなので、続けてもいい
- 付き合っていたら性行為はしてもいい
- パートナーなら、その都度同意を得なくてもいい
- 前回OKと言ったので、今回もOKだ
- ホテルや家に泊まるのはOKのサインだ
- 相手がイヤと言わなければ性行為をしてもいい
- 両者が成人していたら同意を得なくてもいい
- 酔った勢いで性的なことをしてしまうのは仕方がないことだ
1つでも当てはまるなら同意は得られていません。
上記は大げさではなく、当たり前のことです。自分と相手を守ることにつながります。
性的同意で注意したいポイント4つ
性的同意において、相手の気持ちを考えるとき注意したいポイントは以下のとおりです。
- 相手との性行為に積極的か
- 性行為を望んでいるタイミングか
- その場が性行為に適した場所か
- 双方が納得した避妊・性感染症予防の行動がとれているか
この4つのポイントは、対等な関係で行われることが大切です。
性的同意で大切な考え方
性的同意について考えるうえで大切な、プライベートゾーンとバウンダリーということばを知っていますか?
相手との距離や境界線を保つことは、良好な関係性を築くことにつながります。
プライベートゾーン(プライベートパーツ)を守ろう
自分の体はどこも大切ですが、とくに口・胸・性器・お尻の4つはプライベートゾーン(プライベートパーツ)と呼ばれています。
プライベートゾーンは、自分だけが触っていい部分で、家族やパートナーであっても、他人のものを本人の許可なく勝手に触ったり、見たりしてはいけません。
必要な場合を除き、コミュニケーションや愛情表現でも、ふざけて触らないようにしましょう。
バウンダリー(境界線)を尊重しよう
バウンダリーは人と人の間の境界線です。
自分を守るために、YES・NOをはっきりさせて、自分で線を引くことで、自分と他者を尊重し、自分と他人を区別する考え方です。
- なんだか嫌だなと思う自分の直感・感覚を信じて従っていい
- 途中で気持ちが変わってもいい
- 今日は気分じゃないと思ったらNOと言っていい
バウンダリーは人それぞれ異なり、その時の状況や条件によって、変化することもあります。
状況に関わらず、自分のバウンダリーが尊重される権利があることを知っておきましょう。
また、残念ながらバウンダリーを踏みにじる人もいますが、嫌なことや怖いことがあってもあなたは悪くありません。
その場合、ひとりで抱え込まず、頼れる人に相談しましょう。
性的同意に関するQ&A
ここからは、性的同意に関する質問について解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
断りたいけれど嫌われないか不安なときは?
性行為を断りたいけれど、嫌われてしまわないか、険悪な雰囲気になってしまわないかと不安に思う方もいるかもしれません。
パートナーと自分は常に対等で、同意をきちんと得るのが大前提です。
断りたいのに伝えられない場合は、対等な関係ではないかもしれません。
断りにくいこともあるかもしれませんが、相手のことを思って、傷つかないように配慮した伝え方で、はっきりとしたくないことを伝えましょう。
また、男性が確認すると思っている方もいるかもしれませんが、性的同意はどちらか片方だけがするものではありません。
性別に関係なく、パートナーと性行為に向けて気持ちを確かめ、気持ちを高め合える積極的なものです。
双方が確認するようにすると、義務感や断りづらさがなくなるかもしれません。
性的同意を確認したら雰囲気や流れを壊さない?
性行為をする際に、相手に質問するのは恥ずかしい、毎回確認しなくてもいいのでは?と思う方もいるかもしれません。
また、毎回するのは野暮では?と思う方もいるかもしれません。
性的行為を両者が望んでいることはとても幸せなことです。
気持ちを正直に伝えあい、意思を尊重することで、信頼関係を築けます。
性行為を断られたらどうする?
断られたらまず、中断しましょう。(キスや体へ触れることも含む)
性的接触の有無は愛情やあなたへの好意のバロメーターにはなりません。
そのときの条件や環境、体調などさまざまなものが影響しているため、今のタイミングでは相手が望んでいないという可能性もあります。
断られたら悲しくなったり、次に誘いづらくなったりするかもしれませんが、責めるような態度や言葉はNGです。
断るときも、断られたときも、双方が相手の気持ちを配慮したコミュニケーションを心がけましょう。
夫婦など親しい間柄でも必要?
夫婦間でもカップルでもその都度、言葉で確認しましょう。
確認していないと、性暴力やデートDVにつながる可能性もあります。
性的同意は、男女どちらにとっても大切なプロセスです。
妊活中、排卵日付近に性行為を求められることが苦痛と感じる人もいます。
また、性欲は人により異なるため、お互いが苦痛なくできることが大切です。
セックス以外でも同意は必要?
性行為は、セックス以外の性的な接触すべてを含みます。
体の自己決定権は、みんなそれぞれがもっているため、ハグやキスなど、体へ触れることはすべて拒否する権利があります。
相手との距離感や、どこまでOKでどこからNGかは人によるため、その人にとって安全であると考える境界線があることを理解しましょう。
後から嫌だと言われたら?
性行為に至るまでのスピードは人によって異なるため、自分が嫌だと思っても止められないこともあります。
また、OKと思っていても、途中で気分が変わって、やっぱり嫌だなと思うこともあるかもしれません。
場面や流れによっては、相手に聞きにくい、言いにくいこともあるため、その都度相手に触れる前にコミュニケーションをとりましょう。
自分と相手の心と体を守るために話し合おう
普段から、望まないことは「NO」と言えるような関係性が大切です。
そのためにも、普段からイヤだと思ったときに伝えられるようなセーフワード(合言葉)を考えておくのもひとつの方法です。
お互いを尊重し、安心して気持ちを伝えられるよう、日頃からパートナーと話し合いましょう。