性交渉はパートナーとの愛情を深める一方で、同意がなければ相手を傷つけるリスクも伴います。恋人同士や夫婦であっても、「同意」が前提となることを忘れてはなりません。
この記事では、日本の法律で定められている「性的同意年齢」や、性交渉によるトラブルが起きてしまった際の対処法について詳しく解説していきます。
日本の法律で定められた「性的同意年齢」と注意点
性交渉には、お互いの同意が不可欠です。さらに、日本では年齢によって法律で守られるべき範囲が定められています。
これは、身体的にも精神的にも未熟な青少年を性的な搾取や被害から守るための大切なルールです。
ここでは、日本の法律における「性的同意年齢」について解説します。
性的同意年齢とは?
「性的同意年齢」とは、「性交渉をすることに対して、自分で同意するか拒否するか判断できる年齢」のことです。
日本では、2023年7月の刑法改正によって、この年齢が13歳から16歳に引き上げられました。 つまり、16歳未満の子どもがたとえ「性交渉に同意した」と言ったとしても、法的には性交渉は認められていません。(相手が13歳以上16歳未満の場合は、行為者が5歳以上年長の時に適応となります。)
注意点
さらに、刑法以外にも、各都道府県が独自に定めている「青少年保護育成条例」があります。この条例では、18歳未満の青少年を性被害から守るため、多くの場合、18歳未満との性交渉を禁止したり年齢制限を設けたりしています。
例えば、東京都の青少年の健全な育成に関する条例では18歳未満の青少年とわいせつな行為をすることを禁じており、違反した場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
このように、日本では16歳未満との性交渉が法律で明確に禁止されているだけでなく、18歳未満との性交渉についても、都道府県ごとの条例によって厳しく規制されています。
同意のない性行為は犯罪です
性交渉には「同意」が不可欠です。同意のない性的行為は、たとえカップル間や夫婦間であっても犯罪となり、「不同意わいせつ罪」や「不同意性交等罪」に該当する可能性があります。
これらの罪は、暴力や脅迫がなくても、相手が同意していない状況下でプライベートゾーンに触れたり、キスや性行為を行った場合に適用されます。
2023年の刑法改正により、これらの罪の適用範囲が拡大し、被害者の保護が強化されています。同意の有無は、行為前に必ず確認し、相手の気持ちを尊重することが大切です。
参照元:法務省|性犯罪概要
あなたを守る!もしもの時の対処法と相談窓口
性交渉は、人生において大きな喜びや結びつきをもたらす行為ですが、同時に責任も伴います。時には予期せぬ不安に直面することもあるでしょう。
しかし、どんな状況であっても、あなた自身を守り、正しい選択をするために必要な情報やサポートは必ずあります。
これから、知っておくべき対処法や相談できる窓口についてまとめます。
望まない性交渉をしてしまった場合の対処法
避妊をせずに性交渉を持ってしまったり、避妊に失敗してしまった場合、望まない妊娠につながる可能性があります。 「もしかしたら…」と不安を感じたら、まずは落ち着いて行動しましょう。
緊急避妊薬(アフターピル)
緊急避妊薬は、性交渉後72時間以内(薬剤によっては120時間以内)に服用することで、高い確率で妊娠を防ぐことができる薬です。
通称「アフターピル」とも呼ばれますが、毎日内服するタイプのピルとは異なり、 あくまで緊急時にのみ効果を発揮するものであり、日常的な避妊方法としては適切ではありません。
緊急避妊薬には、吐き気やだるさといった副作用が現れる場合があります。 また、服用後も100%妊娠を防げるわけではなく、性感染症に対する予防効果もないことを理解しておく必要があります。
人工妊娠中絶
妊娠の中断を希望する場合には、人工妊娠中絶という選択肢があります。人工妊娠中絶手術は、「母体保護法」という法律で認められた医療行為です。
具体的には、「身体的・経済的理由がある場合」か「暴行・脅迫などによる妊娠」に限り、妊娠満22週未満で本人および配偶者の同意を得て、母体保護法指定医が行います。手術を行う場合、妊娠12週を超える中期中絶の場合は、基本的に入院して薬で陣痛をつけて分娩させる方法となり、週数が進むにつれて合併症の頻度も上がり、身体的な負担が増えます。
また、日本では、2023年4月に経口の妊娠中絶薬が解禁されました。入院可能な医療機関の管理下でのみ使用可能で、妊娠9週目までの中絶に限られます。こちらも本人および配偶者の同意(状況により本人のみで良い場合もあります)が必要で、医師の指導のもと、適切な服薬とフォローアップが求められます。
どちらも、身体的・精神的な負担を伴う行為なので、医師や身近な人とよく話し合ってから結論を出すようにしましょう。
もしもの時の相談窓口一覧
相談窓口 | ホームページ | 電話番号 |
いのちの電話 | 一般社団法人 日本いのちの電話連盟 | 0120-783-556 ※フリーダイヤル ※毎日16:00 ~21:00 、毎月10日は8:00〜翌11日8:00 |
よりそいホットライン | よりそいホットライン | 0120-279-338 ※フリーダイヤル ※24時間対応 |
TELL (外国人向け相談窓口) |
TELL Japan | 03-5774-0992 ※英語対応 |
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター | 男女共同参画局|性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター | 携帯電話、NTTアナログの固定電話から #8891 NTTひかり電話からは ※宮城県内のNTTひかり電話からは ※埼玉県内のNTTひかり電話からは ※高知県内のNTTひかり電話からは |
チャイルドライン | チャイルドライン | 0120-99-7777 ※フリーダイヤル ※毎日16:00~21:00 |
性に関する正しい知識を身につけるために
性に関することは誰にとってもデリケートで、疑問や不安を感じることも多いでしょう。正しい知識を身につけることは、自分自身と大切な人を守ることにつながります。
困ったとき、悩んだときの相談窓口もたくさんあるので、一人で抱え込まずに、頼ってください。
性感染症の種類と予防策を把握しておく
性感染症は、性行為によって感染する病気の総称です。
自覚症状がないまま経過してしまうことも少なくありませんが、放置すると将来的に不妊症やパートナーへの感染など、深刻な問題を引き起こす可能性があります。
代表的な性感染症
性感染症には、クラミジア、淋病、梅毒、トリコモナス症、カンジダ症、ヘルペス、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染症、HIV感染症など、様々な種類があります。
例えば、クラミジアは若い女性に多く、おりものの増加やかゆみ、下腹部痛などを引き起こします。淋病は、排尿時の痛みや膿が出るなどの症状が現れます。クラミジアや淋病は放置すると不妊症の原因となることもあるため、早急な治療が必要です。
性感染症の予防と早期発見
性感染症を予防するためには、コンドームを正しく使用することが何よりも重要です。ピルなどのホルモン剤はあくまでも避妊を目的としたものであり、性感染症を防ぐ効果はありません。
性感染症は早期発見、早期治療が重要です。心当たりのある場合は、早めに医療機関(婦人科や泌尿器科)を受診し、検査を受けるようにしましょう。
学校や地域の性教育講座に参加する
学校や地域で開催される性教育講座に参加して、性に関する正しい知識を学んでみましょう。
性教育講座では、性に関する正しい知識や、思春期における体の変化、性感染症の予防法、妊娠のメカニズムなど、幅広いテーマについて学べます。
例えば、コンドームの使い方や避妊の方法について、実際に模型を使って教えてくれる講座もあります。
また、近年増加している性暴力から身を守るための対処法や、相談できる窓口についての情報も得られます。
信頼できる書籍やウェブサイトで調べる
性に関する情報は、インターネット上にもたくさんありますが、中には信頼できない情報も含まれています。
信頼できる情報源としては、厚生労働省や文部科学省などの公的機関のウェブサイトや、日本家族計画協会、日本性教育協会などの専門機関が運営するウェブサイトなどがあります。
インターネットで検索する場合は、公的機関や専門機関のウェブサイトを参考にするよう心がけましょう。
親や先生など信頼できる大人に相談する
性に関することだけでなく、何か困ったときや悩んだときは、親や先生など、信頼できる大人に相談してみましょう。
相談する相手は、必ずしも1人である必要はありません。
例えば、親に相談しにくい場合は、学校の先生や保健室の先生、または、信頼できる友人などに話を聞いてもらうことも良いでしょう。
話をするだけで気持ちが楽になることもありますし、自分では気づかなかった解決策が見つかることもあります。
正しい性交渉や法律の知識を身につけ、トラブルから自分を守ろう
この記事では、「性交渉」に関わるトラブルに巻き込まれてしまった際の対処法や相談窓口について解説しました。
「備えあれば患いなし」ともいうように、しっかりとした知識があるに越したことはありません。正しい知識を持つことで不安なく行動でき、トラブルを未然に防ぐことにつながります。
今回の記事が、あなたが安心して性交渉を行える一助となる事を願っています。