友人の相談にどう答えるか悩む女性

友達の悩み相談にどう向き合う? アドバイスより大切な“共感と問いかけ”のパワー

2025.07.26

「友達に相談されたとき、どう接するのが正解なんだろう?」
そんなふうに悩んだことはありませんか。

励まそうと思って一生懸命アドバイスしたのに、相手の表情が曇ったままだったり。
「ありがとう」と言われたのに、どこか距離を感じたり。
相談されたのに、なんだか自信をなくしてしまう――そんな経験、誰にでもあるかもしれません。

誰かの役に立ちたい、力になりたい。
その気持ちはとても尊くて、あたたかいもの。
でも、悩み相談においては「良かれと思ったアドバイス」が、必ずしも相手の心を軽くするとは限らないのです。

この記事では、アドバイスよりも大切な「共感」と「問いかけ」について、
その力と意味を、いっしょに探っていきたいと思います。

なぜ人はすぐにアドバイスしたくなるのか

悩みを打ち明けられたとき、私たちはつい「どうしたら解決できるか」を考えてしまいます。
それは、自分の経験や知識が役に立てば嬉しいし、何より、目の前の大切な人が苦しんでいる姿を見ていられないから。

「こうしてみたらどうかな」
「私も似たようなことがあってさ…」
「◯◯が原因なんじゃない?」

そうやって言葉を返すのは、優しさの表れでもあります。
けれど同時に、「何かを言わなきゃ」「助けなきゃ」という“焦り”や“無力感からの逃避”が働いていることもあるのです。

人は、不安な沈黙や、相手の苦しみとただ向き合う時間に、耐えがたさを感じる生きもの。
だからこそ、「アドバイスする」という行為で、安心したい気持ちが芽生えるのかもしれません。

でもあなたは決して無力ではありません。
悩みはすぐ解決しないことも普通のこと。
だから焦る必要もありません。

まずは「共感」のパワーを使って、心の重荷を下ろすところから始めてみませんか。

「分かるよ」と言われるだけで、心が軽くなる

「そんなことで悩んでるの?」「もっと大変な人もいるよ」
そんな言葉をかけられて、余計に傷ついた経験はありませんか?

悩んでいるとき、人が本当に求めているのは「答え」ではなく、「理解されること」。
自分の気持ちや状況を、ただまるごと受け取ってもらえること。

それだけで、ふっと心が軽くなることがあります。

「わかるよ」「つらかったね」「話してくれてありがとう」
たった一言の共感が、人の心を大きく支えることもあるのです。

実際に、脳科学の分野でも“共感されることでストレスが軽減される”という研究結果があります。
人は「一人じゃない」と感じられるだけで、自分を立て直す力を取り戻すことができるのです。

ある女性はこう言っていました。
「状況は変わらなかったけど、友達に“よくがんばったね”って言われた瞬間、涙が止まらなくなった。
なんだか、許された気がした。」

それくらい、共感のひと言は、押し殺していた行き場のない感情を解放するパワーを秘めているのです。

質問には、自分の答えを見つける力がある

「本当は、どうしたいと思ってるの?」
そう聞かれたとき、自分でも気づいていなかった本音がふっと顔を出すことがあります。

悩んでいるときというのは、感情にぐるぐる巻きにされて、視野が狭くなっている状態。
そんなときに投げかけられる“シンプルな質問”は、まるで心に差し込む一筋の光のようです。

質問には、相手の思考を促す力があります。
「誰かに言われたからこうする」ではなく、「私はこうしたいからこうする」という主体性。
それを引き出してくれるのが、問いかけの力です。

これはコーチングの世界でも大切にされている考え方。
人の中にはすでに“答えの種”があるという前提に立ち、そこに水を注ぐように、問いを差し出すのです。

たとえば――
「今、一番モヤモヤしてるのは、どんなこと?」
「どうなったら、少しでも気持ちが楽になりそう?」
「あなた自身は、どうしたいと思ってるの?」

こうした質問を投げかけるだけで、相手の中に眠っていた“本来の姿”を思い出すきっかけになります。

答えが返ってくるのを、深呼吸しながら、ゆっくり待ちましょう。

アドバイスがうまく届かない理由

「せっかくアドバイスしたのに、全然聞いてもらえなかった」
そんな経験、ありませんか?

もしかするとそれは、相手が“まだ受け取る準備ができていなかった”のかもしれません。

悩んでいるとき、人の心は繊細で不安定です。
頭では「解決しなきゃ」と思っていても、感情が追いつかないこともあります。
そんなときに正論やアドバイスを受け取るのは、時に“責められている”ように感じてしまうこともあるのです。

たとえば、風邪をひいて熱で寝込んでいるときに、
「栄養を取って健康に気をつけなきゃダメだよ」と言われたら――
正しいことを言っているのはわかっていても、今はそれどころじゃない…と感じてしまいませんか?

心も同じです。
まずは今の状態をそのまま認めてもらうこと。
その“心の受け皿”が整ってはじめて、次のステップに進む力が湧いてくるのです。

たとえば、こんな言い換えができるかも

励ましたい、友達に元気になって欲しいという気持ちも
伝え方次第で、同じ思いでも、相手に届く形がまったく変わってきます。

たとえば、こんなふうに言い換えてみるとどうでしょう?

×:「〜したほうがいいよ」
→ ○:「それって、どんなことが一番つらかったの?」


“アドバイス”ではなく、“気持ち”に寄り添う問いかけへ。

×:「そんなことで悩まないで」
→ ○:「悩むくらい、真剣に考えてるんだね」


悩んでいること自体を肯定することで、安心感が生まれる。

×:「私ならこうするな」
→ ○:「あなた自身は、どうしたいと思ってる?」


自分の経験を語る前に、相手の気持ちを尊重する姿勢を。

こうしたちょっとした言い換えが、相手にとって「受け入れられている」「大切にされている」という感覚につながります。

大切なのは、“どう伝えるか”ではなく、“どう在るか”だと私は思います。
相手をジャッジせず、信じて今に寄り添う。
その在り方が、友人が未来に向かって再び一歩踏み出す最高のサポートになります。

それでもアドバイスしたくなったら?

相手の話を聞いているうちに、「こうすればいいのに…」と感じてしまうこと、きっとあると思います。
それは、あなたが相手のことを大切に思っている証拠でもあります。

でも、その“伝えたい気持ち”を少しだけ立ち止まって眺めてみる。
それだけでも、対話の温度は変わってきます。

「私はどうしたいのか?」
「相手は今、どんな状態にあるのか?」
「この言葉は、相手の力を信じている伝え方になっているか?」

その問いを自分に向けてみると、アドバイスが“押しつけ”ではなく、“提案”として届けられるようになります。

たとえば、こんな風に聞いてみてもいいかもしれません。

「今、何かヒントが欲しい感じ?それとも、ただ聞いてほしい気持ち?」
「私にできることがあったら言ってね」
「ひとつの考えとしてだけど、こんな方法もあるかもしれないよ」

アドバイスを“選択肢のひとつ”として渡す。
そして、最終的に決めるのはあくまで相手自身。
そんな信頼のスタンスが、相手の自己信頼感を育てていきます。

寄り添い、信じることが一番のサポート

悩み相談において、
本当に人を支えるのは、
「こうしたらいいよ」という答えより、
「大丈夫だよ、あなたなら乗り越えられる」という信じる姿勢なのかもしれません。

共感は、寒い日にそっと抱える湯たんぽのように、心をじんわり温める。
質問は、自分の内側を映し出す鏡のように、「本当はどうしたいのか」に気づかせてくれる。

そしてあなたは、何かを“してあげる人”ではなく、
ただそばに“いてくれる人”として、大きな支えになっているのです。

アドバイスよりも、共感と問いかけを。
それは、相手の中にある“自分で歩いていく力”を信じるということ。

人と人とのあいだにある、その静かな信頼のあたたかさこそが、
人生を一緒に歩いていくうえでの、本当の贈りものなのかもしれません。

この記事を書いた人

編集部ライター マホサムネイル

編集部ライター マホ

WEBライター。“自分らしく生きる”をテーマに、性・恋愛・メンタルヘルスを中心に記事を執筆。自分の言葉で丁寧に表現することを大切にしています。

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