生理前に「頭がいたい」「どよ〜んな気分…」「イライラする」などでお悩みではありませんか?
毎月訪れる気分の落ち込みは、あなたの精神に問題があるのではなく、【PMSの仕業】です。
PMSの症状は個人差が大きく、日常生活に支障が出るケースもあります。
生理前のつらい症状を改善することができる「ピル」についても詳しく解説していきます!
長く付き合う生理だからこそ、自分を責めたり我慢したりせず、頼れるものに頼って解決しましょう!
PMS(月経前症候群)とは
PMSとは「premenstrual syndrome」の略称であり、日本語で「月経前症候群」のことです。
生理前だから仕方ないと思われがちなPMSの症状。実は、適切な治療を必要とする症状だったというケースも少なくありません。
生理前を快適に過ごすためにも、PMSについて、ぜひ知っておきましょう。
生理(月経)前に起こる心身の不調
PMSは、生理(月経)前に起こる身体の不調のことです。20〜40代の女性が発症しやすいと言われており、生理開始の約3〜10日前に発症するのが一般的です。生理がある女性の約70~80%が、なにかしらの症状を感じています。
PMSの症状は多岐にわたります。現れる症状は人によって異なり、症状の度合もさまざまです。生理が始まると症状は軽くなったり治まったりするのが一般的で、月経中に起こる生理痛などの不調である「月経困難症」と区別されます。
PMSの症状
PMSの症状は大きく分けて「精神的なもの」と「身体的なもの」があります。具体的な症状は下記の通りです。
精神的な症状
- 情緒不安定
- イライラ、不安、感情的になる
- 落ち着かない、集中力の低下
- 気分の浮き沈み、憂うつ
- 自律神経症状としてののぼせ
- 家から出られない
- 判断力や集中力の低下
- 孤独感
- 不眠
- 性欲の変化など
身体的な症状
- 頭痛、腹痛、頭が重い、体のだるさ
- 胸の張り、腰痛、関節痛
- 下腹部の張り、下腹痛、便秘
- 肌荒れ、手足や顔のむくみ
- 食欲不振、過食、食欲が増す
- 異常な眠気など
PMSが起こる原因
PMSが起こる原因は、はっきりと解明されていませんが、女性ホルモンの一種「プロゲステロン」が影響している可能性が高いと言われています。
プロゲステロンとは
排卵後から生理が開始するまでに多く分泌されるホルモンのことです。基礎体温を上昇させ子宮内膜を厚くする働きがあり、さまざまな身体的不調を引き起こすと考えられています。
ホルモンバランスの変化
また、ホルモンバランスの変化もPMSを引き起こす要因と言われています。
ホルモンバランスは、自律神経に多大な影響を及ぼし、生理周期に合わせて大きく変動します。そのため、PMSの発症につながる可能性があります。
幸せホルモン「セロトニン」の減少
精神的不調の原因として考えられているのが、生理前に起こる脳内物質「セロトニン」の分泌量減少です。
「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンには、幸福感を覚えたり、気持ちを落ち着かせたりする作用があります。
生理前にセロトニンの分泌量が減少することで、イライラするなどの症状が現れやすいと言われています。
セロトニンの分泌量を上げるには
セロトニンの分泌量を促進させるためには、朝10時までに太陽光を浴びるのがおすすめです。
加えて、自転車こぎやウォーキングなど1日25分程度のリズム運動も効果的です。
セロトニンの分泌を促進することで、メンタルを整えPMSの症状緩和が期待できます。
つらいPMSの症状を改善するには
PMSの症状を改善する方法には、「生活改善に取り組む方法」と「ピルを使う方法」があります。
つらい症状に悩まず、自分に合った方法を見つけて対策しましょう。
生活改善に取り組む
PMSの症状を緩和させるためには、規則正しい生活や適度な運動、十分な睡眠、バランスの良い食事が効果的です。生活改善を心がけることで、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。
自律神経の乱れを抑えるには、ビタミンやミネラルを積極的に摂取するのがおすすめです。
特に下記に記載する栄養素は、自律神経の乱れを整える働きがあります。
カルシウム
乳製品、小魚、大豆製品、海藻類、小松菜など
マグネシウム
油揚げ、青のり、わかめ、ひじきなど
亜鉛
ごま、牡蠣、アーモンド
ビタミンA
ほうれん草、豚肉、レバー、うなぎなど
ビタミンE
大豆、かぼちゃ、卵、アボカドなど
カフェインやアルコールはPMSの症状を悪化させると言われているため、生理前は控えるようにしましょう。
ストレスの発散
ストレスもPMSの症状を悪化させる原因の1つです。
日ごろからストレス発散を心がけることはもちろん、PMSの症状がつらくストレスに感じる場合は、心が喜ぶことをしましょう。
友人や家族とおしゃべりをしたり、趣味に没頭するなど、楽しむことが大切です。
ピルを使う
PMSの症状を緩和させるのに有効な薬として、「ピル」があげられます。
ピルとは
エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を含む薬のことです。
ピルと聞くと、避妊薬をイメージする方も多いでしょう。しかし、最近はPMSの症状や肌荒れの治療に用いられるケースも増えています。
ホルモンバランスを安定させる
ピルには、ホルモンバランスを安定させる効果もあります。
ホルモンバランスの急激な変動が抑制されるため、PMSに伴うさまざまな症状の発生や悪化を防ぐことが可能です。
仕事やプライベートに忙しく生きる現代女性にとって、生理前の不快な症状は、QOLを低下させる大きな要因と言えるでしょう。
より自分らしく快適な毎日を過ごすために、ピルを活用して症状を和らげましょう。
読売新聞オンライン「バービーと考える働く女性の健康…ピル服用率が全国平均5倍の理由」によると、東京・丸の内エリアを中心とするオフィス街で働く女性のピルの服用率は、全国平均の約5倍にも上ることが分かりました。女性の社会進出が進む今、ピルを使ってPMSの症状を改善する女性は増えていくでしょう。
ピルでPMS対策するなら!知っておきたいこと
つらいPMSの症状がピルで緩和できるなら、「ぜひ使ってみたい!」という方は多いでしょう。ここでは、ピルを用いてPMS対策する際、事前に知っておきたいことを解説します。
ピルの購入方法
ピルは、医師が診察のうえ、適切であると判断した場合にのみ処方されます。日本では、医師の診察と処方箋がないとピルの購入は認められていません。ピルを購入するには、定期的な通院が必要です。
ネット通販では個人輸入の形でピルの購入ができますが、海外製のピルは安全性や有効性の保証が不足していることがあり大変危険です。個人輸入による海外製ピルの使用により、健康上のリスクや不調を招く可能性があることを知っておきましょう。
ピルにかかるコスト
ピルにかかるコストは、保険適応の可否や病院ごとの料金体系により異なります。PMSの治療のためにピルを服用する場合は、保険が適用されるケースがほとんどです。
保険適用ではなく自費で購入する場合は、1カ月分2,000〜3,000円程度が一般的なコストです。診察料に加えて、必要に応じて検査代がかかることもあります。
具体的なコストや保険適用の可否については、直接クリニックや病院に確認しましょう。
適切な通院頻度とは
ピルを処方してもらうには、医師の診察が必要です。特に忙しい日々を送る方にとって、通院頻度は気になるでしょう。
ピルをはじめて服用する場合は、服用をスタートしてから1カ月後に通院して医師の診察を受けましょう。一般的に、初期段階では3カ月ごとの定期的な受診が必要とされています。ある程度慣れてきたら、半年から1年ごとに健康状態のチェックと検査をしましょう。
身体への影響や副作用の有無を確認するためにも、定期的な受診が大切です。持病を持っている方や副作用が心配な方は、こまめに通院することをおすすめします。
オンライン診療
忙しい方など毎回の通院が負担になる場合は、オンライン診療を活用するのも1つの方法です。ただし、PMS用ピル(LEP)はオンラインで医師に相談することはできても、処方まではされません。
実際にピルを数カ月間飲み続けた後、検査して問題がないと医師が判断した場合のみ、オンラインでの継続処方が可能です。
オンラインでの処方の場合、郵送コストがかかる場合もあります。
PMS改善に効果が期待できるピルの種類
ピルには、ホルモン配合量によって
- 中用量ピル
- 低用量ピル(OC:オーシー)
- 超低用量ピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP:レップ))
の3種類あります。
PMSの改善を目的とした場合、ホルモン量が最も少ない超低用量ピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP))を処方されるケースがほとんどです。代表的な超低用量ピル(LEP)は、以下の7種類です。
さまざまな種類があるので、症状に合わせて専門医と相談して決めましょう。自分に合った病院や専門医を探すためにも、自分の身体の症状を記録することをおすすめします。普段からPMSの症状日記をつけておくと、来院時もスムーズに受診できるでしょう。
ピル使用時の注意点
はじめてピルを使用する場合、副作用やリスクなど心配なことも多いでしょう。実際にピルの使用には、いくつかの注意点があります。ピルを服用する前に必ず確認しておきましょう。
ピルを飲んだ場合のリスクや副作用
血栓症のリスク
ピルの使用時の注意点として、血栓症のリスクがあげられます。血栓症とは、血液中にできた血の塊(血栓)が血管を詰まらせ、血の流れを止めてしまう病気のことです。発生した場所によっては、重篤な病気を引き起こす可能性があります。
とは言え、血栓症を引き起こす可能性は非常に低く、もともと血栓症リスクの高い方以外は過剰な心配は不要です。
万が一、ピル使用時に息苦しさやめまい、頭痛、ふくらはぎの異変などの症状が現れた場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
ピルの副作用
ピルの主な副作用として、吐き気やめまい、頭痛、肌荒れ、体重の増加、むくみなどの症状があります。副作用は、最初の1〜2カ月の間に発症することがほとんどで、身体が慣れてくるにつれて、副作用は軽減される傾向にあります。
副作用の症状がなかなか軽減されない場合やひどい場合は、医師に相談することをおすすめします。
ピルを飲まない方がいい人
副作用などのリスクがあるピルは、飲まない方がいい人もいます。以下の項目に該当する場合は、必ず医師に相談しましょう。
【2】35歳以上で1日の喫煙本数が15本以上の人
【3】高血圧(収縮期血圧160mmHg以上もしくは拡張期血圧100mmHg以上)
【4】前兆のある片頭痛持ちの人
【5】糖尿病や高血圧、脂質異常症などの持病がある人
【6】妊婦や授乳中の人
【7】2週間以内に手術を受けた、もしくは1カ月以内に手術予定がある人
【8】乳がんや子宮体がんなどの疑いがある人
PMSは我慢せず、上手に付き合いましょう!
PMSによるつらい症状を、「生理前だから仕方ないこと」と諦めている女性は少なくありません。しかし、PMSは生活改善を心がけることやピルを使うことで緩和できます。PMSは我慢せず、ピルを賢く活用するのも1つの方法です。
PMSと上手に付き合うためにも、普段から自分の身体の症状を記録することが大切です。自分にあった病院を探して受診し、長い目でPMSと付き合っていきましょう!