恋愛中の尽きない不安に、「もしかして病気なのかな?」「恋愛依存症なのかな」と感じたことはありませんか?
彼を好きな気持ちと裏腹に、ささいなことで「見捨てられるかも」と苦しくなるのは、あなたの性格だけが原因とは限りません。
この記事では、恋愛で不安が強くなる原因と、あなたが安心して関係を育むための具体的な対処法をやさしく解説します。
恋愛と関係が深い「不安障害」とは?
不安障害とは、不安が日常生活に支障をきたすほど強くなった状態です。
恋愛で強い不安や心配が続き、つらさを感じている場合、それは不安障害の傾向が影響している可能性があります。
この記事では、恋愛と関係の深い不安障害について解説するとともに、不安と上手に付き合うためのヒントをお伝えします。
不安を抱きやすい原因
恋愛で強い不安を感じる場合、「全般性不安障害」や「社交不安障害」が影響しているケースがあります。
全般性不安障害とは、仕事や家族、恋愛などのさまざまな事柄に対して過剰な心配が続く状態です。「もし彼に嫌われたら…」と考え続けて落ち着かず、疲れやすくなることもあります。
社交不安障害は、他人から注目される状況に強い恐怖や不安を感じる状態です。「本当の自分を見せたら嫌われるかも」と思い、恋愛が苦痛になることも見られます。
不安障害は、以下のような複数の要因が関連するとされています。
- 近しい人と別れた経験
- 子どもの頃に受けた虐待
- 遺伝
- 脳のいち部分の過剰なはたらき
- 体の病気
- カフェイン・アルコール
ただし、はっきりとした原因は分かっていない部分も多く、現在も研究が進んでいます。
適応障害との違い
気持ちの落ち込みや不安などが出る病気には、不安障害のほかに「適応障害」もあります。
適応障害は、転職や失恋、恋人とのトラブルなど、生活の大きな変化やストレスが原因で起こる病気です。不安障害との大きな違いは、「明らかにストレスが原因かどうか」という点です。
適応障害では、ストレスとなる出来事から3か月以内に症状が出るケースが多く、解消すれば6ヶ月以内に改善するとされています。一方、不安障害ははっきりした理由が分からないまま慢性的に症状が続いたり、パートナーが変わっても同じような不安のパターンを繰り返したりすることがあります。
もしあなたの不安が特定のストレスから始まった場合は、適応障害が関係している可能性も考えられるでしょう。
「見捨てられ不安」と愛着スタイル
「彼がいないと生きていけない」「見捨てられるくらいなら、どんなことでもする」と思いつめてしまうことはありませんか。
こうした気持ちは「恋愛依存症だから」と考えがちですが、実は「愛着スタイル」が関係している場合があります。
ここでは、「見捨てられ不安」と愛着スタイルの関係について見ていきましょう。
「見捨てられるかもしれない」不安の正体
見捨てられ不安は、「大切な人に見放されてしまうのではないか」という強い不安のことです。
この不安には、子どもの頃の経験に由来する「無意識の思い込み」が関係している可能性があるとされています。
子どもの頃に十分な愛情や安心感を得られなかった経験があると、「人はいつか自分を見捨てるものだ」と無意識に思い込むことがあり、「恋人にもいつか見捨てられる」という考えにつながることがあるのです。
愛着スタイルとは?4つのタイプ
愛着スタイルとは、主に幼少期に保護者との関係で築かれる、対人関係の基本的なパターンのことです。このスタイルは大人になっても引き継がれ、恋愛での不安の感じ方やパートナーに求める距離感へも大きく影響します。
愛着スタイルは、不安(見捨てられ不安)と回避(親密性の回避)という2つの要素の組み合わせで、以下の4タイプに分類されます。
安定型タイプ
親密性の回避 :低い
恋愛における特徴:自己肯定感が高く、恋人と尊重し合える関係を育みやすい
とらわれ型タイプ
親密性の回避 :低い
恋愛における特徴:恋人に頼りたいものの自分に自信がなく、見捨てられ不安を感じやすい
恐れ型タイプ
親密性の回避 :高い
恋愛における特徴:親密になりたいが、傷つくことを恐れて恋人を信頼できずに悩みを抱えやすい
拒絶型タイプ
親密性の回避 :高い
恋愛における特徴:恋人と深く親密になることを避け、一定の距離を保とうとする
日本の大学生256名を対象とした調査では、とらわれ型が全体の43.5%と最も多かったという結果があります。不安定な愛着スタイルを持つことは決して特別ではなく、多くの人が同じような悩みと向き合っているといえるでしょう。
とくに「とらわれ型」と「恐れ型」の愛着スタイルでは「見捨てられ不安」が心の根底に強くあるため、パートナーのささいな言動が、過剰な不安や相手への束縛につながりやすくなります。
自分の愛着スタイルの傾向を知ると不安な気持ちの理由が分かり、悩みを解消するきっかけになるでしょう。
恋愛の不安と上手に付き合うためのヒント
恋愛で強い不安を感じると、一人で悩みを抱え込んでしまいがちですが、その不安と上手に付き合う方法はあります。
ここからは、安心できる関係を築くために役立つ3つのヒントを紹介します。
セルフケアで心を整える
不安な気持ちに飲み込まれそうになった時、自分の心をケアする方法を知っておくと安心です。
セルフケアのひとつが、「考え方のクセ」に気づくことです。不安が強い時ほど、「LINEの返事が来ないのは嫌われたからだ」「自分ばかり好きで空回りしている」など、無意識に物事をネガティブに受け止めやすくなります。
こうした考え方のクセを客観視するのに役立つのが、「ジャーナリング(書き出すこと)」です。自分の気持ちや感じたことをそのまま書きだすと、不安になりやすいタイミング、どのような思考パターンに陥りやすいのかが見えてきます。必要なものは紙とペンだけなので、取り組みやすいでしょう。
これは心療内科で行われる「認知行動療法」と似た方法で、不安を客観視して向き合うきっかけになります。
ジャーナリングの方法やコツについては、以下の記事も参考にしてみてください。
パートナーへ正直な気持ちを伝える
あなたの不安を、一人で抱え込み続ける必要はありません。パートナーに正直な気持ちを伝えることで、二人の関係がより深く、安心できるものに変わる可能性があります。
大切なのは、感情的に相手を責めるのではなく、「私」を主語にして冷静に伝えることです。たとえば、「返信を待ってる間どんなに不安か、あなたは気づいてる?」ではなく、「返信がないと嫌われたのかなってすごく不安になってしまう」(主語=私)と伝えてみましょう。
「言わなくても分かってほしい」と一方的に期待するのではなく、自分の考えをゆっくりと整理して伝える努力が、安心できる関係の土台となります。
専門家の助けを借りる
セルフケアやパートナーとの対話だけで不安が軽くならない場合、専門家の助けが必要かもしれません。
カウンセリングや心療内科は、心の専門家と一緒に落ち着いた環境で自分の悩みと向き合える場所です。不安障害や愛着の悩みに対しては、次のような治療法が有効とされています。
認知行動療法
考え方のクセを修正して具体的な対処スキルを身につける治療法
薬物療法
脳の神経伝達物質のバランスを整え、不安をやわらげる薬を使う治療法
現在の状況に合わせて、医師と相談しながら治療法を選べます。悩みを抱えている場合は、まずは気負わずに相談してみましょう。
不安への理解を深め、パートナーとの恋愛を心から楽しもう
恋愛で強い不安を感じると、「重い」と思われたくなくて一人で抱え込みがちです。
こうした不安は、不安障害や愛着スタイルが影響している場合もあり、決してあなたのせいではありません。
セルフケアやパートナーとの対話、時には専門家の力も借りながら不安の正体と向き合い、少しずつ自分の中に安心感を育てていきましょう。

https://odoriba.love/mind/4218/

