「最近、性欲が減った気がする」「パートナーと気持ちがすれ違うことがある」そんな悩みを抱えていませんか?実は、性欲の変化に「テストステロン」というホルモンが関係している可能性があります。
この記事では、女性の性欲とテストステロンの関係や、性欲低下の原因、改善方法について詳しく解説します。
テストステロンとは?
テストステロンは、体のさまざまな働きに大事な役割を持つ性ホルモンです。「男性ホルモン」として知られていますが、実は女性の卵巣や副腎でも分泌されています。男性ほど多くはないものの、女性にとっても心身の健康維持には欠かせません。
多くの身体機能に影響を及ぼすテストステロンですが、女性の性欲や性衝動にも関わりが深いことがわかっています。また、月経周期を通じて分泌量が変動し、気分や行動に影響するという報告も見られます。
「性欲が落ちたかも…」と感じる場合、テストステロンの分泌量が関係している可能性があります。テストステロンと女性の関係について、詳しく見ていきましょう。
テストステロンが女性に与える影響

テストステロンは、女性の身体や心にもさまざまな影響を与えています。ここでは、テストステロンが女性にとってどのような影響を与えるか、具体的にご紹介します。
性欲や性衝動を高める
テストステロンには、男女問わず性欲や性衝動を高める働きがあります。
「会えない期間が長いと寂しくなって性欲が高まる」、逆に「パートナーと付き合いが長くなると、性欲がなくなる」と感じたことはあるでしょうか?
ある研究では「身近にパートナーがいる女性は、遠距離恋愛やパートナーがいない女性に比べてテストステロンの値が低かった」という結果が示されています。
このように、テストステロンの分泌量は恋愛や性的関心の状態と関係しており、性欲の変化に影響を与えている可能性があります。
更年期の不調など婦人科症状を改善する
テストステロンは、更年期の女性に多く見られる不調を改善する働きもあります。性欲低下や気分の落ち込み、疲労感などは、女性ホルモンの「エストロゲン」だけでなくテストステロンの減少によっても引き起こされる可能性があります。
実際に、海外では性欲障害の治療にテストステロン補充療法として投与されることもあり、最近注目されています。また、ホルモンバランスの一部として働くため、月経異常や不妊治療の一環として少量投与されるケースも見受けられます。
筋肉や骨を維持する
テストステロンは、女性にとっても筋肉や骨の健康を支える大切なホルモンです。
体内でタンパク質を合成する働きを持ち、筋肉量を維持して筋力を高める効果があります。テストステロンの分泌量が多いと体つきが男性的になるのは、この働きによるものです。
また、声変わり、肩幅の拡大、体毛の増加などにも関わります。「顔つきが精悍になる」と言われることもありますが、これは医学的に証明されていません。
精神的に前向きになる
テストステロンは、意欲や挑戦心、ストレス耐性などを高める働きがあるとされており、私たちの精神的な面にも深く関わっています。嘘をつかなくなる、社会貢献の気持ちが強くなるといった社会性を高める作用も期待され、複数の研究でテストステロンの抗うつ効果が示唆されています。
「なんだか気分が晴れない、やる気が出ない」…そんな時は、テストステロンの分泌量のバランスが影響しているかもしれません。
認知機能に関わる可能性がある
テストステロンは、認知機能にも関係していると言われており、脳の記憶や学習に関わる部分で、新しい神経細胞の産生が示唆されています。
このことから、加齢に伴う認知機能低下を防ぎ、脳の働きを保つうえでも一定の役割を果たしている可能性があります。
テストステロン不足のせい?女性の性欲がなくなる理由

テストステロンの分泌量が減ると、性欲も減ると考えられています。とはいえ、性行為に積極的になれない理由はテストステロン不足だけではありません。年齢や心の状態など、いくつかの理由が考えられます。
年齢やライフステージによるホルモンバランスの変化
女性の体は、年齢やライフステージによってホルモンバランスが大きく変化します。特に更年期に近づくと、女性ホルモンのエストロゲンだけでなく、性欲に関わるテストステロンも減少する傾向にあるとわかっています。
また、妊娠・出産・授乳期などにもホルモン環境が大きく変動し、一時的に性欲が低下することが考えられます。こうした自然な体の変化も、性欲に影響を与える要因の1つです。
心理的・社会的な要因
たとえば「育児で疲れて性行為まで気持ちがついていかない」「変わった体型をパートナーに見られたくない」と感じたことがある人もいるかもしれません。
仕事や育児によるストレス、慢性的な疲れ、自信のなさなどの心理的な負担で、性欲が落ちることがあります。
薬剤や病気の影響
抗うつ薬や血圧の薬、ピルなどの薬の副作用で性欲が低下することがあります。服用している薬がある方は、副作用を確認しましょう。
また、うつ病や糖尿病、甲状腺疾患といった病気自体が、性欲に影響を及ぼすことも考えられます。
性欲が落ちたのは、ホルモンバランスが原因かも
性欲が落ちる原因には、ホルモンバランスを含め、年齢、環境、精神状態などさまざまな影響が考えられます。
いくつかの要因が重なることで性欲が低下することもあり、自分の力だけではコントロールできない場合もあるので、「性欲が落ちたのは自分のせい」と責める必要はありません。
性欲を回復させたいと思った時は、自分の体と心のコンディションを振り返るきっかけと考えてみてください。もし日常生活に支障をきたすほど悩んでいる場合は、婦人科や精神科・心療内科などを受診するのも選択肢のひとつです。
テストステロンを含めたホルモンバランスを適切に保つ方法

テストステロンを含め、ホルモンバランスを整えるためには、規則正しい生活習慣が大切です。
具体的な方法としては、栄養バランスの取れた食事、適度な運動、質の高い睡眠などがあります。また、ストレスを上手に発散して心身をリラックスさせることも大切です。
バランスの良い食事
栄養バランスがとれた食事を心がけましょう。テストステロンの分泌を促進するには、食事と運動を組み合わせると良いと報告されています。また、玄米に含まれるビタミンEの一種は、テストステロンの分泌に役立つ可能性があると報告されています。
適度な運動
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、ホルモンバランスを整えるために効果的です。筋力トレーニングは、テストステロンの分泌を促す効果も期待できます。無理のない範囲で、楽しみながら継続できる方法を取り入れましょう。
質の良い睡眠
睡眠は、テストステロンの合成に重要です。睡眠時間だけでなく、質の高い睡眠を心がけ、生活リズムを整えるよう心がけましょう。眠れない時は、音楽やアロマなどでリラックスタイムをとってみてください。
ストレス発散
ストレス発散も、テストステロンに限らずホルモンバランスを整えるために不可欠です。十分な睡眠、適度な運動、バランスの良い食事、趣味や音楽などで心身をリラックスさせ、ストレスによるホルモンの乱れを防ぎましょう。
テストステロンは女性の性欲にも影響する!自分を責めすぎずに受け止めよう!
テストステロンは、女性にとっても心身の健康に関わる大切なホルモンです。性欲が落ちたと感じる時は、テストステロンをはじめとしたホルモンバランスの変化が影響している場合があります。
しかし、性欲には個人差があり、ホルモン以外の要因も複雑に絡み合っています。
性欲が落ちること、性行為に気分が乘らないことを「おかしいのではないか」と気に病む必要はありません。今の自分の状態を受け入れ、できることからホルモンバランス全体を整える工夫をしてみましょう。
悩みをパートナーに相談すると、理解が得られて気持ちが軽くなることもあります。自分を責めず、体の変化を受け止めることから始めてみてください。