LGBTQという言葉をニュースやSNSで見かけても、L・G・B・T・Qがそれぞれ何を意味するのか分からない人も多いのではないでしょうか。
また、LGBTQ+の「+」や、クィア、アライなど、関連する言葉も次々と増えていて、なんとなく分かったつもりでも、自分の言葉で説明するのは難しいものです。
この記事では、LGBTQ+の基本の意味から、日常で相手を傷つけないための言葉の選び方まで、やさしく解説します。
LGBTQとは?L・G・B・T・Qの意味を一気にやさしく解説
LGBTQとは、性のあり方の多様性を表すための総称です。押さえておきたいのは、LGBTQは趣味嗜好でも、病気や治療の対象でもないということです。世界保健機関(WHO)も、日本の法務省・厚生労働省も、同じ立場をとっています。
それぞれの文字の意味は次のとおりです。
レズビアン、女性を好きになる女性、という意味です。
【G:Gay】
ゲイ、男性を好きになる男性、という意味です。
【B:Bisexual】
バイセクシュアル、異性を好きになることもあるし同性を好きになることもある人、を意味します。
【T:Trans – gender】
トランス・ジェンダー、生まれた時に医師に診断された性別とは異なる性を望む人、を意味します。
【Q:Queer/Questioning】
1つは「クィア」で、既存のラベルに当てはまらない自己表現として使われます(詳しくは記事後半で紹介します)。
もう1つは「クエスチョニング」で、自分の性のあり方に悩んでおり、まだ明確に宣言していない状態を指します。
LGBTQ+の用語はなぜ増えている?カミングアウトした勇敢な著名人に学ぶ
LGBTQに加えて、「LGBTQ+」「LGBTQIA」など、関連する用語は年々増え続けています。「+」が表すもの、そして勇気を持ってカミングアウトした著名人たちのストーリーから、言葉の広がりの背景を見ていきましょう。
LGBTQ+の「+」とは?増え続ける略語のなかにあるもの
LGBTQ+の「+」とは、L・G・B・T・Qの五文字に収まりきらない、多様な性のあり方を表す記号です。
たとえば、身体的特徴が男性とも女性とも判断の難しいインターセクシュアル、
恋愛や性的な惹かれを感じにくいアセクシュアルなどが挙げられます。略語自体も、LGBからLGBT、LGBTQ、LGBTQIA+へと拡張されてきました。
「ずっと言えなかった」著名人のカミングアウトから見えること
ただし、LGBTQ+などの略語が増えているからといって、こうしたあり方の人が昔からいなかったわけではないようです。長く声に出せず、自分の中で抱えていただけというケースの存在が、著名人の勇敢なカミングアウトにより明らかになっています。
例えばAAAの與真司郎さんは、2023年にゲイであることを公表しました。報道では、周囲に知られることでキャリアに影響が出るのではないかという不安から、長く誰にも話せなかったことが紹介されています。経済評論家の勝間和代さんも、2018年に同性パートナーとの交際を公表した際、同性を好きになることはずっと悩んでいたし、付き合い始めたことを人に言えず悩んでいたと振り返っています。カミングアウトには、大きな勇気が必要だったのです。
略語を全部覚える必要はありません。出会った言葉をきちんとした情報源で確かめ、相手の言葉をそのまま受け止める、それで十分です。
「男か女か」だけじゃない?性のあり方を見る4つの要素
LGBTQ+のことを知る上で、性のあり方は、次の4つの要素に分けて考えると整理しやすくなります。
- 身体的性
- 性自認
- 性的指向
- 性表現
ただし、知っておきたい大切な前提があります。
性のあり方は、男/女の二択ではなく、グラデーションになっています。そして、4つの要素は互いに独立しており、ある要素が決まっても、他の要素がワンパターンに決まるわけではありません。自己紹介の書式や行政の書類で「性別」と「性的指向」が別項目として並んでいるのは、そのためです。
では、4つの要素を順番に見ていきましょう。
身体的性
外性器や内性器などの生物学的特徴による性の捉え方です。
性自認
自分がどの性別であるかの認識による性の捉え方です。
性的指向
自分の性的な感情が、どの性別に向けられているのかを示す概念です。
性表現
服装やしぐさや言葉遣いといった表現の中で、性別をどう表現するかを示す概念です。
【医師コラム】そもそも性別って生まれつき決まるもの?
ここまで読んでくださった読者の方には、「性別って生まれた瞬間に決まるはずでは?」「トランスジェンダーは科学的に説明できるの?」と感じる方もいるのではないでしょうか。
医学的には、性別を決める要素として以下の4つがあるとされています。
性染色体(XX/XYなど)によって決まる性
【内性器の性】
精巣や卵巣の存在によって決まる性
【外性器の性】
陰茎や膣や子宮の存在によって決まる性
【脳の性】
性ホルモンの脳への作用によって決まると考えられている性
「身体の側にも性の多様性がある」、これは、性のあり方を見直す上で重要な事実の1つと考えられています。
「クィア」「アライ」ってなに?SNSや職場で見かけるようになった2つの言葉
SNSのプロフィール、コミュニティのタグ、企業の名札やID、出会いの場面のプロフ欄など、LGBTQ関連の自己表明に触れる機会が増えてきました。
そのなかでも特に目にすることが多いのが、「クィア」と「アライ」の2つの言葉です。
ここで最初に押さえておきたいのは、こうした自己表明はすべて自己申告であるということ。書かれていない人にラベルを貼らず、書かれている内容以上のことを推測しない、この姿勢が、2つの言葉と向き合う最初の地盤になります。
それぞれ、言葉の意味を見ていきましょう。
クィアとは
クィア(Queer)とは、性的マイノリティ全体を包含する総称や、既存ラベルに当てはまらない自己表現として使われています。
アライとは
アライ(Ally)とは当事者ではないものの、LGBTQ+を理解・支援する立場の人を指します。「知る/変わる/表明する」の三つのステップが提唱され、SNSやプロフィール欄に「Ally」と書く人もいます。
とくに「アライ」とだけ書かれているケースでは、当事者ではなく支援者として表明している可能性が高いです。ただし当事者がアライ的な表現を併用している場合もあるため、断定はできません。
明日から困らない!相手を傷つけない・自分も身構えない、3つの実用ステップ
LGBTQ+の意味を知っても、実際の会話や職場、友人関係の中で「どこまで聞いてよいのか」「どんな言葉なら失礼にならないのか」と迷う場面もあるでしょう。
ここでは、日常で取り入れやすい実用ステップとして、言葉選び、自分の姿勢、困ったときに頼れる情報源の3つに分けて解説します。
話すときに使ってよい言葉、避けたい言葉
私たちが何気なく使っている言葉には、知らず知らずのうちに「前提」や「決めつけ」が含まれていることがあります。相手を傷つけず、お互いに心地よい関係を築くために、どのような言葉を選択し、どのような表現を避けるべきか、具体的な例を見ていきましょう。
最優先の原則は、相手の自己呼称・自己紹介の言葉をそのまま使うことです。「お相手」「パートナー」「お付き合いしている方」のような中立な表現が望ましいでしょう。
一方、「彼/彼女」と決めつける呼び方、「ご主人/奥様」、「普通は」「珍しいですね」、「すごいですね」「立派ですね」のような評価表現は避けたいところです。
自分が同じ場面に立つときの基本姿勢
悪気はなくても、何気ない言葉や態度が相手を傷つけてしまう場面があります。たとえば「私はゲイの友達がいるから大丈夫」と前置きしてしまう、逆に気を遣って同性パートナーの話題だけ避けてしまう、などが挙げられます。
どちらも相手から見ると「自分だけ特別扱いされている」と感じられてしまうため、身構えすぎないことが大切です。
法律と公的サポートの活用
法律や公的サポートの活用など、「迷ったらここに頼れる」という選択肢を知っておくと、安心感に繋がります。
2023年6月に施行された「LGBT理解増進法」は罰則のない理念法で、国・自治体・事業主に努力義務を課す内容です。「不当な差別はあってはならない」という共通認識を社会で持つことを目的としています。
自分自身のセクシュアリティに迷いを感じる場合、無料の診断ツールを試す方法もありますが、結果は参考として扱うのが安全です。専門の相談先としては、24時間無料の「よりそいホットライン」(性的マイノリティ専用ダイヤルあり)が公的支援として運営されています。
さらに学びたい方は、本記事末尾の参照元から、厚労省・法務省・内閣府・WHO・APA・各学会のページに直接アクセスしてください。
LGBTQの意味を知り、まずは相手の言葉をそのまま受け止めよう
ここまで、LGBTQの意味から、性のあり方を見る4つの要素、「クィア」「アライ」の意味や、明日からの言葉の選び方までを見てきました。
LGBTQ+やアライであると表明することは、本人にとって大きな勇気のいる行為です。だからこそ、相手のすべてを無理に理解しようとする必要はありません。むしろ過剰に特別扱いする姿勢が、かえって相手を傷つけてしまうこともあります。
まずは、LGBTQの意味を知ること。そして、相手の言葉をそのまま受け止め、そのまま返してみることが、お互いの安心につながるでしょう。
