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【医師監修】LGBTQ+に対して私たちにできることとは?NG対応と正しい一歩

2026.09.25
坂本 慧 先生
監修
坂本 慧 先生
研究施設勤務
日本小児科学会専門医、性自認や性的指向に悩む思春期前後の子どもたちへの臨床現場での支援経験あり

友人や同僚、家族から「実は LGBTQ+なんだ」と打ち明けられたとき、「何と返せばいいのだろう」「失礼なことを言ってしまわないだろうか」と戸惑う人は少なくありません。相手を傷つけるつもりはなくても、何気ない一言や行動が負担になってしまうこともあります。

この記事では、LGBTQ+に対して私たちにできることをテーマに、カミングアウトを受けたときに避けたい対応と、相手を尊重するために心がけたい接し方をわかりやすく解説します。

LGBTQ+のカミングアウトは、特別ではない

「親友から突然打ち明けられた」「同僚が何か言い淀んでいる気がする」「家族が相談しづらそうにしている」そんな場面を想像したことはないでしょうか。LGBTQ+は自分とは遠い世界の話題に感じるかもしれませんが、決して稀なことではありません。職場や友人グループ、親族の集まりなど、身近な人からカミングアウトや相談を受ける可能性は日常のどこでも起こりうる話です。

そして、いざカミングアウトを受けると、頭が真っ白になってしまったり、思わず不適切な一言が出てしまったりする人は少なくありません。差別したいわけではない。ただ、失礼をしたくない。相手の勇気を無駄にしたくない。その戸惑い自体は自然なものです。しかし、たとえ本音でなかったとしても、最初の対応を誤ると、関係性は大きく崩れてしまうかもしれません。

海外では、友人や家族向けに「カミングアウトを受けたときの実践ガイド」が大学や医療機関から公開され、感謝・傾聴・口外しないといった基本が広く共有されています。日本でも裁判の判例蓄積や政府指針の公表は進みつつありますが、現場で使える短い言葉や態度の普及は、まだ十分とは言えません。

LGBTQ+からのメッセージを受け取る側として大切なのは、相手を尊重するための基本を知っておくことです。何を心がけどのように振る舞うと良いか、正しい知識があれば、相手を尊重した対応ができるでしょう。

LGBTQの意味や基本について知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

LGBTQ+に対して私たちにできることとは?受け取る側としての第一歩

熱い抱擁を交わす友人

ここで敢えて「私たち」という言葉を使っているのは、LGBTQ+の当事者ではないと思っている人たち全員に、少しの気遣いと理解で変わることがあることを知ってほしいからです。能動的に支援活動を始める話ではありません。

LGBTQ+のカミングアウトや相談をされた時に、まずは正しく受け止められるようになる。それがこの記事でお伝えする「私たちにできること」です。

LGBTQ+のカミングアウトは勇気のいる行動だと知る

まず皆さんに知ってほしいのは、LGBTQ+について打ち明けたり相談したりすることは、相手にとって大きなリスクを伴う非常に勇気のいる行動だということです。相手は、「周囲に伝わるかもしれない」「今後の人間関係やキャリアに影響するかもしれない」といった不安を乗り越えて、あなたを信頼して伝えています。

そんな勇気を出した行動だからこそ、カミングアウトを受けた側がとる最初の反応は、相手のその後の信頼を大きく左右します。ですので、「これは勇気のいる一歩だったんだ」と知ること自体が、まず大切な第一歩になります。

LGBTQ+は多様な性のあり方だと理解する

ここまで読んでくださった読者の中には、「LGBTQ+はおかしいことだ」、「その人のことを大切に思うなら、治してあげようとするべきだ」と思っている人はおそらくいないでしょう。

実はかつて、同性愛や性的指向マイノリティは、医学の世界で精神疾患の1つとして分類されていました。

しかし医学界は熟慮の末に、この考えを誤りだと意見を改め、LGBTQ+を理解されるべき多様性の在り方の1つと考えるようになりました。1970年代から現在に至るまで、アメリカ精神医学会や世界保健機関などの海外の主要医療団体は、同性愛などの性的指向は病気ではないという立場にあり、日本精神神経学会もそれにならっています。

つまり医学の世界でも、多様な性のあり方は「治すべき異常」ではなく、尊重されるべきその人らしさと考えられています。「自分の常識にあてはめて正そうとするのではなく、本人が伝えてくれた言葉をそのまま受け止めること」、それが医学的にも正しいとされ、私たちに求められている接し方です。

LGBTQ+に対して私たちがやってはいけない3つのこと

カミングアウトを受けたときは、たとえ善意でも相手を傷つけたり、信頼関係に影響を与えたりする可能性があります。まずは、受け取る側の私たちが押さえておくべき3つのNG行為を知っておきましょう。

アウティング

アウティングとは、本人が信頼する特定の人にしか伝えていない性のあり方を、同意なく第三者に伝える行為です。「心配だから」「この人には共有した方がよい」など、理由が気遣いであったとしても、本人の同意がなければアウティングになります。

アウティングは本人のプライバシーを侵害する重大な意味を持ちます。日本の職場でもパワーハラスメントに該当する場合があり、企業には防止措置が義務付けられています。ほかの人に伝える必要があると思うなら、必ず本人の同意を取る。それ以外の場合には、自分の胸の内にとどめるようにしましょう。

決めつけや詮索

「本当はバイセクシュアルなんじゃないの?」「見た目からして女っぽいなと思ってた」といった決めつけや詮索は、相手にとって非常に負担を強いる行為です。好奇心から出た質問でも、打ち明け直後に身体や経歴を掘るのは適切ではありません。相手は自分のことを、あなたに評価してもらうためではなく、自分の言葉であなたに伝えるために信頼して話したのです。

どうしても確認した方がよいと感じたことがあったとしても、「答えてもらわなくて大丈夫」と逃げ道を用意するようにしましょう。「相手が使った言葉をそのまま使い、相手の話した範囲だけを聞く」、それが無難な対応です。

過剰な評価・同情・ネタ化

「全力で応援します」「大変だったでしょう?」「それってXXみたいでかっこいいね」、こうした言葉もよくありません。あなたにとっては励ましや同情のつもりかもしれませんが、相手にとってはそう伝わらないことがしばしばあります。「すごいですね」は評価として機能しがちですし、「かわいそう」は同情で片付ける表現になります。冗談やネタの対象にする行為は、さらに明確なNGです。

過剰な評価・同情・ネタ化は、一見して大した悪影響はないように見えても、積み重なることで相手に負担を強いる可能性の高い避けるべき行為です。それでは一体どうすれば良いのか、「私たちにできる5つのこと」を次に紹介します。

LGBTQ+に対して私たちができる5つのこと

LGBTQ+に対して私たちができる5つ対応を記したイラスト

やってはいけないNG行動を避けようとして、何も話せなくなってしまうのもよくありません。代わりにとるべき行動はシンプルです。以下の5つのイメージを掴むようにしましょう。

まずは受け止めよう

まず口にするべき言葉は「教えてくれてありがとう」「あなたの言葉を受け止めたい」、そんな短い言葉で十分です。驚きや戸惑いを口にしたい気持ちもあるかもしれませんが、相手はたいていの場合あなた以上に緊張と不安でいっぱいなものです。

まずは言葉を受け止めて、安心させてあげましょう。

相手の言葉をそのまま使う

相手が「ゲイ」だと言ったなら、あなたも「ゲイ」と呼ぶようにしましょう。その言葉は、相手が非常に悩んだ末に使っている言葉です。「ホモ」といった別の用語を用いることは、あなたにとっては同じ意味だったとしても、相手を傷つけるかもしれません。

相手の使った言葉こそが、いま最も相手を正確に表す呼称です。言い換えず、そのまま使うことが相手の意思を尊重することになります。

会話の主語を相手にする

カミングアウトの時間は、相手のために使うことが大切です。自分の価値観や感情の整理は、場を改めて行うようにしましょう。「打ち明けた本人にあなたの感情の処理をさせない」、これは非常に重要なことですが、意外と難しいものです。

海外のガイドにも共通するのは、「この場は相手のための時間」という原則です。自分の驚きの吐露や価値観の整理は、後で信頼できる別の相手に預けます。意識して、会話の主語を相手に戻すようにしましょう。

関係を変えすぎない

あなたに、相手と今後も変わらぬ良好な関係を続けたい気持ちがあるのなら、特別扱いはやめましょう。過剰な気遣いも、距離をおいてしまうのも、どちらも相手を特別扱いすることになってしまいます。

「これからもこれまで通り接したい」と伝えるだけで十分です。

共有して良い範囲は本人に確認する

「この話は誰には共有しても良いですか?」「こういうことなら協力できると思います」、時に言い出しづらい内容かもしれませんが、取り返しのつかないすれ違いを避けるためにも、最も重要な内容です。

誰になら話してよいか、何なら手伝えるか、短く確認する。これだけで、アウティングやすれ違いの多くを防ぐことができます。

受け取る側のチェックリスト

ここまで読んで、イメージは掴めたけれどもいざとなったら自信がないという方もいるでしょう。そんな時には、以下の5つのチェックリストを確認するようにしましょう。






最初から完璧な理解は不要です。この5つさえ守れば、ほとんどのトラブルは避けることができます。

LGBTQ+に対して私たちにできることは、相手の信頼への「ありがとう」から

花畑で笑いあう友人たち

ここまでたくさんのポイントを話しましたが、最も大切なことは「打ち明けるというのは、非常に勇気のいるもので、あなたへの信頼がないとできない行為である」と理解し、感謝で受け止めることです。

驚きをそのまま口にする前に、まずは「教えてくれてありがとう」と伝えることから始めてみましょう。

この記事を書いた人

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もっさん

小児科系の情報やアドボカシーのお役に立てそうな情報を中心に発信しています。音楽を聴くのが好きで、作業に疲れた時はお気に入りの歌を口ずさんで気分転換しています。

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