排卵・射精・受精・着床と妊娠までの過程をわかりやすく図を使って解説しています。
妊娠について気になることはありませんか?よくある疑問点をQ&A形式でまとめました。
避妊のアイテムはわかるけど、どうやって避妊されているのかわかっていますか?どのようにして避妊できるのか詳しく解説しています。
女性は月経がある限り妊娠する可能性があります。
妊娠を望む人も望まない人も、妊娠する仕組みについて知ることは大切です。
この記事では、妊娠についての知識やよくある疑問について解説します。
妊娠について正しい知識を得て、月経と妊娠について知っておきましょう。
妊娠する過程と妊娠の基礎知識を知ろう!
妊娠に至るには、女性の卵子と男性の精子が必要です。
まずは、妊娠の基礎知識を知っておきましょう。
① 排卵
女性の体の機能である排卵が、月経や妊娠の中核です。
卵子が成長し、卵子が育っている袋の卵胞(らんぽう)を破って、卵巣から出ることを排卵(はいらん)といいます。
卵巣を出た卵子は卵管に入って、受精するために精子を待ちます。
卵子の寿命は約24時間と言われています。
② 射精
男性器から性行為で排出された精子は、女性の膣の中から子宮内へと進みます。
1回の射精で何億個もの精子が排出されますが、卵管までたどり着くのはわずか数個とかなり少ないです。
精子の寿命は約72時間と言われています。
③ 受精
卵巣から排卵した卵子と精子が卵管で出会い、くっつくことで起こるのが受精です。
受精すると、他の精子が入り込むことができなくなります。受精したら、分裂しながら4〜6日かけて子宮を目指して移動します。
④ 着床
受精した卵(受精卵)は細胞分裂をしながら移動し、受精後7日前後で子宮の中のベッドにもぐりこみます。これを着床といいます。
卵子がもぐりこみやすくなるよう、排卵後は子宮の中の内膜が厚くなり、ベッドをふかふかにして待っています。
着床が完了するタイミングは、受精卵ができてから12日前後です。
排卵〜着床まで、すべてのステップがタイミングよく行われ、うまくいくことで妊娠します。
射精された精子が女性の体内で生きられるのは3日、排卵した卵子が受精できるのは1日ほどです。
妊娠はタイミングはかなり限られていて、タイミングやコンディションなど、さまざまな奇跡が重なって起きるのです。
毎月月経がなく(月経不順)ても、排卵している限り妊娠する可能性はあります。
タイミングは限られていますが、妊娠を希望しない場合は、必ず避妊しましょう。
妊娠についてのよくあるQ&A
妊娠について気になることはありませんか?
今さら聞けない、周囲に聞くのが恥ずかしいという方もいるかもしれません。
ここからは、よくある妊娠のあれこれをQ&A形式で解説します。
Q 排卵日はいつ頃になる?
A 月経開始から約14日ほどで排卵が起こる
月経が28日周期の場合、月経開始から14日ほどで排卵が起こります。
月経周期が整っている場合は、月経が終了してから1週間ほどすると排卵が起こることが多いでしょう。
月経周期は25〜38日が正常範囲内と言われていますが、排卵してから月経が始まるまでの期間は約14日と変わりありません。
月経周期の長さは、月経が始まってから、次の排卵が起こるまでの日数の長さによって変わります。
ただ、女性の体は繊細です。
環境の変化やストレスにより、ホルモンバランスが乱れて排卵がズレることがあるため、あくまでも参考程度になります。
Q 着床するまでどれぐらいかかる?
A 12〜14日程度かかる
排卵後、タイミングよく精子と受精したら(受精卵)、細胞分裂しながら4〜6日かけて移動し、その後子宮内膜という子宮のベッドに着床します。
受精卵ができてから着床が完了するまでに、12〜14日程度かかります。
Q 妊娠する確率はどれぐらい?
A 排卵日付近でも25〜30%
1回の月経周期で妊娠する確率はそれほど高くありません。
妊娠しやすい排卵日付近でも、25〜30%程度です。
また、年齢が高くなるほど妊娠する確率は下がるため、35歳以上では18%程度、40歳を過ぎると5%程度と大幅に下がります。
Q 妊娠しているかもと思ったら?
A 月経予定日から1週間以上かつ性交渉から3週間以上経っても月経が来ない場合、妊娠検査薬を試す
体調によって月経が遅れることもあるので、1週間程度月経が遅れても、すぐに医療機関を受診する必要はありません。
ですが、妊娠しているかもしれないと思ったら、まずは妊娠検査薬で確認しましょう。
妊娠検査薬はドラッグストアなどで購入できます。
1回の月経で妊娠する確率はそれほど高くありませんが、月経予定日から1週間以上、最終の性交渉の日から3週間以上経過しても月経がない場合は、妊娠検査薬を試しましょう。
妊娠検査薬の精度は99%以上とほぼ確実ですが、検査するタイミングが早すぎると正確な結果が出ないことがあります。
早く結果を知りたいと焦る気持ちもあるかもしれませんが、月経予定日を1週間以上過ぎたタイミングで試しましょう。
Q 妊娠検査薬で陽性が出たらどうする?
A 医療機関を受診しましょう
もし妊娠検査薬で陽性が出た場合は妊娠している可能性が高いです。
そのため、医療機関を受診しましょう。受診の目安は、月経予定日の1〜2週間後です。
診察では、胎嚢という赤ちゃんの袋が子宮の中にあるかを確認します。妊娠検査薬だけでは、妊娠していることがわかっても、どこに妊娠しているかはわかりません。
子宮以外の部分に妊娠している可能性もあります。
子宮以外に妊娠した場合、受精卵がどんどん成長して破裂し、体の中で大量出血してしまう可能性があります。
そのため、妊娠検査薬で陽性が出た場合は、必ず医療機関を受診しましょう。
月経がある限り妊娠する可能性がある
女性はピルなどの排卵を止める薬を使っていない限り、ほぼ毎月排卵が起こります。
生理不順で毎月の月経が必ずしも来なくても、排卵がある限り妊娠の可能性はあります。
年齢に関係なく、月経がある限り妊娠する可能性があることは知っておきましょう。
月経が周期的かどうかにかかわらず、閉経していなければ妊娠する可能性はゼロではありません。
妊娠を避けたい場合は、必ず適切に避妊をしましょう。
【性別別】望まない妊娠を防ぐ方法は?
排卵がある限り、妊娠する可能性があります。そのため、妊娠を希望しないのであれば、必ず避妊が必要です。
避妊方法には、男女関係なくいくつかあります。それぞれの避妊方法にはメリット・デメリットがあるため、状況にあった避妊方法を選びましょう。
男性編:コンドームの使用
「② 射精」を膣内に出さないようにし妊娠を防ぐ
コンドームは男性器に使用する避妊方法です。
射精によって排出された精液が外に漏れ出ないようにする避妊具で、薬局やコンビニなどで買いやすく、値段も比較的安価なので使用しやすいメリットがあります。
さらに、コンドームには避妊効果だけでなく、性感染症の予防や副作用などの心配がないというメリットもあります。
ただし、男性主体の避妊方法のため、男性の協力がなければ使用できません。
女性も使用を希望する場合は、しっかりと意思表示をし、双方が同意した上で使用することが大切です。
また、正しく着用できていなかったり、タイミングが適切でなかったりすると、避妊できる確率は下がります。
コンドームを着用するタイミングは、体液や精液を接触させる前が適切です。
正しい使用方法での妊娠率は約2%です。しかし、正しく使用しなかった場合や、破損などがあった場合は、妊娠率は約15%程度に上昇すると言われています。。
正しく使用していても、妊娠する可能性があることは知っておきましょう。
女性編:ピルの服用
「① 排卵」を抑え妊娠を防ぐ
ピルとは経口避妊薬のことで、1日1錠、連続して服用することで、女性ホルモンの分泌を抑えて排卵を抑える効果があります。
卵子の排出を防ぐことで、結果的に避妊を実現できます。
ピルには、21錠タイプと28錠タイプがあります。
28錠タイプでは、最後の7日間はホルモンが入っていない偽薬を内服します。7日間休薬することで、消退出血という月経のような出血が起こります。
正しい方法で使用した場合、妊娠率は0.3%とほぼ確実に避妊ができます。
女性主体の避妊方法で、男性に頼らず避妊できる方法です。
他にも、ピルには生理痛の軽減、卵巣がんや子宮体がんの予防にも効果があります。
ただし、性感染症の予防効果はないため注意が必要です。
コンドームよりも費用が高く、1カ月で2,500〜3,000円程度費用がかかります。また、産婦人科を受診する必要があります。
女性編:子宮内避妊具(IUD)
「② 射精」と「④ 着床」を阻み妊娠を防ぐ
以前は子宮内リングと呼ばれていた方法で、子宮の中に挿入することにより、受精卵が着床することを防いだり、精子の進入を阻んだりすることで、妊娠を阻止する方法です。
正しい方法で使用した場合、妊娠率は約0.2%とほぼ確実に避妊ができます。
女性主体の避妊方法で、薬のように飲み忘れの心配はなく、装着後は5年間、年に1度以上の定期検診は必要ですが、数年避妊ができます。
黄体ホルモンの作用により、月経の回数が減り、約20%の人は生理が起こらなくなるでしょう。
また、ピルと同様に、月経痛の軽減なども期待できますが、性感染症の予防はできません。
そして、避妊目的の場合保険適用にならないため、費用は4万円〜6万円と高額です。
子宮内に器具を挿入するため、分娩を経験していない女性の場合、子宮の入り口が硬く、挿入が難しいことがあります。
また、正しい位置に入っていないと、挿入直後に子宮内感染症が起きたり、痛みや出血が続いたりすることもあります。
現在日本で使用できる方法は以下の2つです。
【年齢別】避妊方法の選び方
日本では男性用コンドームでの避妊が一般的ですが、年齢やライフプランに応じて適切な避妊方法の選択が大切です。
それぞれのメリット・デメリットを知り、カップルに合った避妊方法を選択しましょう。
10代〜20代:ピルのような高い避妊方法がおすすめ
10代〜20代は性的に活発な時期です。
また、性的衝動が起こりやすい時期でもあるため、確実に避妊できるピルを使用するのがおすすめです。
しかし、ピルだけでは性感染症が予防できないため、ピルとコンドームの併用がおすすめです。
男性・女性ともに避妊方法を選択することで確実に避妊効果が得られるでしょう。
また、妊娠を希望する場合、ピルの服薬を中止することで妊娠できる状況になります。
産後の方:コンドームがおすすめ
産後の方は、コンドームがおすすめです。
体の回復のため、出産してから次の妊娠までの間は、1年以上あけた方がよいとわれています。
授乳中の場合、母乳の分泌を抑えてしまうためピルは服用できません。
授乳をしていない場合でも、産後4カ月未満は血栓症(血が固まりやすくなる)のリスクが高いため避けた方がよいと言われています。
子宮内避妊具も産後すぐには使用できないため、コンドームを使用しましょう。産後は月経が再開していなくても、最初の排卵で妊娠する可能性があるため、初回の性交渉から必ず避妊することが大切です。
40代以降:子宮内避妊具もしくはコンドームがおすすめ
出産経験があり、今後妊娠希望がない場合は子宮内避妊具がよいでしょう。
出産経験がない場合は、コンドームがおすすめです。
ピルの場合、月経困難症などに対して効果的です。しかし、35歳を過ぎると血栓症のリスクが高くなりますので、内服できるのは50歳ごろまでと言われています。
緊急時のための「アフターピル」
避妊をしてくれなかった、避妊に失敗したという場合は、アフターピルの服用がおすすめです。
避妊に失敗しても、72時間以内にアフターピルを服用することで80%以上避妊ができます。
アフターピルは、排卵を遅らせたり、受精を妨げたり、受精卵の着床を防いだりする効果があります。
保険適応外のため価格は高く、副作用もあります。体への負担も少なからずあるため、安易に使用することはおすすめしません。
ですが、72時間以内での服用で高確率の避妊効果が期待できるため、アフターピルという選択肢があることは知っておきましょう。
月経と妊娠の関係について知っておこう!
女性は薬で抑えない限り、排卵が起こります。
排卵は妊娠や月経の中枢のため、どの年代でも排卵や月経がある限り、妊娠する可能性があります。
妊娠を希望している方もしていない方も、月経と妊娠の仕組みを理解しておきましょう。