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【医師監修】生理と貧血の関係は?症状や対策について解説

2024.10.29
中里 泉 先生
監修
中里 泉 先生
あらかきウィメンズクリニック
日本産科婦人科学会認定専門医/医学博士
専門:生殖内分泌、性感染症
所属学会:日本産科婦人科学会 日本生殖医学会
この記事のポイント
  • 生理中に貧血になりやすいのはなぜ?
    生理によって血液が排出される関係で、赤血球内のヘモグロビンが不足して全身に酸素をうまく運べなくなり貧血の症状が出やすくなることがあります。

  • 貧血の原因は?
    様々な要因がありますが、生理での血液の排出、過度なダイエットや偏食はヘモグロビンの生成に必要な鉄分の摂取ができず貧血を起こしやすくなります。

  • 貧血対策は?
    カラダに吸収されやすい「ヘム鉄」を意識的に摂取することや、他の栄養素と同時に摂取することで鉄分の吸収を助けてあげることもできるのでバランスのいい食事を心がけましょう。

生理中に立ちくらみやめまいなど、貧血のような症状を感じた経験はありませんか?
生理中はなぜ貧血症状が出るのでしょうか。その原因と対策について解説します。

生理中に貧血になるのはなぜ?

ソファに腰かけて額を押さえている女性

貧血は、医学的には血液の中のヘモグロビンという値が基準に満たない状態をさします。
ただ、私たちが日常で使う貧血は意味合いが少し異なり、ふらつきや立ちくらみを一般的に「貧血」と言われることが多いです。
では、生理中に貧血になるのはなぜなのか、その原因について解説します。

生理と鉄欠乏性貧血について

貧血にはいくつか種類があります。
なかでも、女性に多いのは鉄分不足による鉄欠乏性貧血です。

鉄欠乏性貧血は、赤血球に含まれる重要なタンパク質である「ヘモグロビン」が構成する鉄分が不足することで起こる貧血です。鉄分が不足することで、全身に酸素をうまく運べなくなります。
しかし、鉄欠乏性貧血はゆっくりと進行するため症状が出にくいこともあり、自覚が全くないという方も多いです。

とくに女性は、毎月の月経によって定期的に経血として血液が排出されるため、貧血になりやすいです。また、経血量が多いほど鉄分が失われるため、症状が顕著に表れる方もいます。

貧血の症状
・動悸・めまい・息切れ・立ちくらみ
・体のだるさ・頭痛・集中力の低下
・顔が青白くなる・爪が割れやすい・髪が抜けやすくなる
・肌が荒れ・口角炎
・運動などしていなくても、普段から脈がはやい
より強い貧血の症状
・汗をかく
・呼吸が早くなる
・味覚の異常が出る

隠れ貧血の可能性に注意!

自覚があっても、血液検査では貧血ではないという方もいます。
貧血の診断は、一般的にはヘモグロビンの値を調べます。しかし、ヘモグロビンの値が正常でも、体の中にある鉄分が減少すると、体のだるさや息切れ、動悸などが出ることがあります。
これが、隠れ貧血と呼ばれる状態です。

隠れ貧血かどうかを知るためには、体の中の鉄分量を調べる「フェリチン」という値を調べないとわかりません。
フェリチンは、体の中で鉄分を蓄えておくためのたんぱく質です。鉄分が必要になるタイミングで体から必要に応じて鉄分が排出され、利用されます。

フェリチンの値が低くなると、鉄分不足、つまり貧血になってしまいます。
ただ、フェリチンは健康診断など、普段の血液検査で調べることは少ないでしょう。そのため、貧血の症状がある場合はその旨を医師に伝え、検査を受けることがおすすめです。

こんな貧血も!気をつけたい貧血の症状

隠れ貧血以外にも気をつけたいのが「起立性調整障害」です。
起立性調整障害は自律神経のバランスが崩れ、急に立ち上がった時に血圧が下がり、立ちくらみやめまいが起こることをいいます。

起立性調整障害は「脳貧血」とも言われ、目の前が暗くなったり、意識が遠のき、失神したりすることもあります。
体の中の血液の流れが変化しやすい時に出やすく、寝ている状態から立ち上がる、長時間立っている時などに症状が出やすいです。

月経中は経血量にもよりますが、出血によって体の中の血液量が少なくなる傾向にあります。
体の中の血液量が減ると脳への血液が低下し、立ちくらみなどの症状が出やすくなります。

また、月経中は腹痛や腰痛などの体調不良によるストレスで、自律神経のバランスが崩れやすいことも悪化しやすい原因です。
その場合は安静にし、足を少し高くして休むと徐々に落ち着くことが多いでしょう。
体を冷やさず、こまめに水分補給をすることも大切です。

貧血の原因は?

カフェアートが施された3つのカフェラテ

貧血の原因にはさまざまなものがあります。
どのような原因が考えられるのか、解説します。

毎月の生理

まず、貧血の大きな原因は毎月の生理です。
経血量は個人差がありますが、毎月定期的に血液が体の外に排出されるため、貧血になりやすいと言われています。

無理なダイエットや偏食

無理なダイエットや偏食も原因の一つです。
食事の量が減ると鉄分の摂取が減るため不足しがちになり、貧血を起こしやすくなります。
食事制限でダイエットをしている方だけでなく、食が細い方も要注意です。
外食やインスタントなどの加工食品を多く摂っている方も注意しましょう。

カフェインの過剰摂取

カフェインは鉄分の吸収を妨げます。
そのため、カフェインを普段から多くとっている人は鉄分が不足し、貧血になっている可能性があります。
コーヒーは1日1〜2杯程度であれば問題ありませんが、それ以上とっている場合は注意が必要です。

病気が隠れている可能性も

他にも病気が隠れている可能性もあります。
生理中の出血量が多い「過多月経」の場合、ふらつきなどが出やすいです。

出血量は人と比べにくいためわかりにくいですが、1回の月経での出血量が140ml以上のことを過多月経といいます。

夜用のナプキンを1〜2時間で交換する、血の塊が出るといった場合は、出血量が多く、過多月経の可能性があります。
「過多月経」は子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜症などの病気が隠れている可能性があるため、一度婦人科を受診し、医師に相談しましょう。

生理中貧血にならないための対策とセルフケア

食事中の女性がお肉をカットしている手元

貧血にならないためには、事前に対策しておくことが大切です。
普段からできる対策とセルフケアをご紹介します。

鉄分を多く含む食材を摂る

まず大切なことは、鉄分を多く含んだ食材を摂ることです。
鉄分が不足しがちな月経中だけでなく、日頃から鉄分を意識的に摂るように心がけましょう。
月経がある方の場合、1日あたりの摂取推奨量は10.5mgです。

厚生労働省の報告によると、日本人女性の1日あたりの鉄分摂取量は6.5mg程度と、推奨摂取量を満たしていません。
普段の食事だけでは必要量摂れていないことが多いため、意識して鉄分を摂取するように心がけましょう。

また、鉄には体に吸収されやすい「ヘム鉄」と吸収されにくい「非ヘム鉄」があります。
「ヘム鉄」は肉や魚に多く含まれ、「非ヘム鉄」は貝類や野菜などに多く含まれていると言われています。

貧血解消のためには、できるだけ体に吸収されやすい「ヘム鉄」が多く含まれる食材や食品を摂ることがおすすめです。

ヘム鉄を多く含む食材で代表的なものは以下のとおりです。

ヘム鉄を多く含む代表的な食材
・赤身肉・牛レバー・豚レバー・鶏レバー・砂肝
・アサリ・めざし・マイワシ・マグロ・カツオ

バランスのとれた食事を摂る

バランスのとれた食事を摂ることも大切です。
外食や偏食などの食事では、栄養が偏ってしまうだけでなく、鉄分の摂取量が少なくなります。
鉄分以外にも必要な栄養素があるため、ビタミンやミネラル、たんぱく質などを含んだ、バランスのとれた食事を摂るよう心がけましょう。

質のいい睡眠を摂る

質のいい睡眠も大切です。
鉄分は睡眠に深く関係するメラトニンというホルモンの合成に必要と言われています。
鉄分不足になると、睡眠に必要なメラトニンが減り、寝つきが悪くなったり、朝スッキリ目覚められなかったりします。

また、足がムズムズするなどの不快感があるむずむず脚症候群も鉄不足が関連していると言われています。

質の良い睡眠をとるために、就寝前のカフェインやアルコールを避けたり、軽い運動をしたりするとよいでしょう。
また、睡眠環境を整えることも大切です。部屋の温度と湿度を快適と感じる温度に調整し、自分にあった枕を使いましょう。

サプリメントを摂る

基本的には食事から鉄分を摂ることが大切です。
しかし、普段の食事からの鉄分の吸収率は15%程度と低いため、かなり多く鉄分を含んだ食材を摂る必要があります。

そのため、普段の食事で品数多く鉄分を含んだ食材を摂ることが難しい場合は、サプリメントも併用し、効率よく摂取できるように心がけましょう。

鉄分と合わせて摂りたい!おすすめの栄養素

グレープフルーツ、オレンジなど暖色系のフルーツや輪切りにした断面が移る写真

生理中には鉄分が不足するため、積極的に鉄分を多く含む食材を摂る必要があります。
鉄分以外にも、貧血予防に大切な栄養素について解説します。

ビタミンC

まずはビタミンCです。
ビタミンCは鉄分の吸収を促す作用があると言われています。ビタミンCを含む食材を一緒に調理する、レモンをかけるなどのちょっとした工夫で一緒に摂ることができますよ。

ビタミンCはレモンやいちご、キウイなどのフルーツやパプリカなどの野菜に多く含まれます。

たんぱく質

たんぱく質はヘモグロビンの材料になる栄養素なので、しっかり摂ることが大切です。
中でも、特に肉や魚などの動物性たんぱく質は鉄分の吸収を助ける働きがあります。
一緒に動物性たんぱく質を摂ることでさらに鉄分の吸収が促されるため、卵や肉、魚は欠かさないようにしましょう。

葉酸

葉酸はビタミンB群の中の栄養素で、体の中の血や細胞を作るための大切な働きをしています。
血を作る作用があるため、別名「造血ビタミン」と言われています。

血液の中でも赤血球を作るのを助ける働きがあり、たんぱく質の合成を促す作用もあるため、正常な代謝のために必要な栄養素です。
ブロッコリーや枝豆などに多く含まれているため、積極的に摂りましょう。

ビタミンB12

ビタミンB12は体の中で血液を作るために必要なビタミンの1つです。
体の中の細胞を新しく作ったり、修復したりするのを助ける働きがあります。不足すると貧血になるため、葉酸と合わせて積極的に摂る必要があります。

レバーやアサリやしじみなどの貝類に多く含まれています。

生理中の貧血がひどいなら医療機関を受診しよう

ふらつきなどがある場合はまずは婦人科などを受診して検査を受け、原因を調べることが大切です。
病気が隠れている場合は、原因に合わせて治療が必要になります。

バランスよく食べて生理中の貧血を予防しよう

街中で仲良くくっつきあう2人の女性

貧血予防には、栄養バランスのとれた食事が大切です。
ダイエットで食事を抜いている、偏った食事を摂っている方は要注意です。まずは食生活を改善しましょう。

食事だけで改善ができない場合は鉄剤を飲むなど、治療が必要になることもあります。
生理中は腹痛や腰痛など不調もある時期ですが、貧血を予防するように心がけましょう。
経血量が多く、症状がつらい場合は婦人科で相談してみましょう。

この記事を書いた人

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オドリバ編集部

「オドリバ」は女性の悩みに寄り添うメディア。性・カラダ・こころをメインテーマに、ライフステージを駆け上がる女性たちがひと休みできる「踊り場」のように、こころの拠り所になることを目指し誕生しました。

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