おどけた表情で「冗談」を意味するハンドサインをする男性

【医師監修】嘘をつく彼氏は病気なの?障害の可能性と上手な向き合い方

2026.01.27
川合 厚子 先生
監修
川合 厚子 先生
クリニック勤務
内科、精神科を担当
医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本精神神経学会専門医、公認心理師、労働衛生コンサルタント、産業医

彼氏の言葉に矛盾を感じたり、何度も違和感を覚えたりすると、「嘘をついてる?もしかして病気なのかな」と不安になるものです。

付き合いを進めていくうち、小さなごまかしが続くと、彼の本心がわからず戸惑う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、頻繁に嘘をつく理由や、病気や障害との関係、そして恋人としてどのように向き合えばよいかについて解説します。

虚言癖なの?彼氏が頻繁に嘘をつく理由

嘘には、病的なものとそうでないものがあります。

たとえば、怒られたくない、嫌われたくないという気持ちから、とっさにごまかしてしまう人もいます。自分をよく見せたい、場を穏やかに保ちたいという気持ちが背景にあることも少なくありません。

嘘をつくからといって、すぐに病気や障害があるとは限らず、まずは理由を丁寧に見ていくことが大切です。

嘘をつく人にみられる病気・障害の症状と嘘の傾向

窓際の席で、女性の手を握りじっと彼女の目を見つめる男性

嘘をつく行動には、本人の性格だけでなく、精神面の問題や発達特性、依存の影響など、さまざまな要因が複雑に関係している場合もあります。

ここでは、専門的に知られている主な状態について紹介します。

虚偽性障害(作為症)

虚偽性障害(きょぎせいしょうがい/作為症<さくいしょう>)は、注目されたり心配されたりするために、病気やけがを装ったり、ときに自ら体を傷つけて症状をつくり出してしまう状態です。

本人に金銭など明確な利益を得ようとする意図はなく、「かまってほしい」「存在を認めてほしい」という気持ちが背景にあるとされます。

「体調が悪くて入院していた」「検査結果が深刻だった」など、深刻な話をするわりに詳細が曖昧な場合、この傾向が疑われます。

このうち、体調不良を訴え続けたり、医療機関を転々とするような行動が目立つケースは「ミュンヒハウゼン症候群」とも呼ばれています。

本人も無意識のうちに嘘を繰り返してしまい、やめたくてもやめられない苦しさを抱えていることも少なくありません。

演技性・反社会性などのパーソナリティ障害

パーソナリティ障害の中には、嘘をともなう言動が目立つタイプがあります。

たとえば、演技性パーソナリティ障害は「注目されたい」という気持ちが強く、話を大げさに伝える傾向があります。

自己愛性パーソナリティ障害では、「自分を大きく見せたい」気持ちから誇張や虚偽が出ることが特徴です。

反社会性パーソナリティ障害は、他人を利用する目的で嘘をつくなど、周囲への配慮に欠ける行動が特徴です。

ADHDなどの発達特性

ADHD(注意欠如・多動症)のある人は、衝動性や忘れっぽさといった特性から、結果的に嘘のような言動になることがあります。

本当は悪気がないのに、とっさに場を取り繕おうとして事実と異なることを言ってしまうケースが挙げられます。

たとえば、約束を忘れてしまったときに、「急な仕事が入った」とごまかすのも一例です。

本人にとっては、その場をうまく収めたいという一心で発言していることが多く、後から自己嫌悪に陥る場合も少なくありません。

こうした傾向は、性格ではなく生まれ持った特性に由来することもあり、嘘の背景を丁寧に見ていく視点が大切です。

依存症やその他の精神疾患

依存症や精神疾患でも、嘘をともなう言動が見られることも珍しくありません。

統合失調症や解離性障害では、妄想や記憶の欠落から「嘘をついている」と誤解されやすい傾向があります。

双極性障害では、躁状態における判断力の低下や誇張から、事実と異なる言動が出やすくなるのが特徴的です。

また、お酒やギャンブルに依存している場合、飲酒や賭け事のために嘘をつくことが多く、金銭トラブルにつながったり、経済的な困窮などがみられたりすることがあります。

嘘が病気かどうかを自分で確かめる方法

ルーペで目元を大きく見せ、こちらを怪しむように見せる女性

嘘が病気かどうか、本人以外が判断することはできませんが、不安な気持ちを少しでも整理するためにできることもあります。

ここでは、嘘が病気かどうかを確かめる方法をご紹介します。

過去から続いている傾向か確認する

彼の嘘が一時的なものなのか、それとも以前からくり返されてきたのかを知ると、背景が見えてくることもあるでしょう。

たとえば、子どもの頃からの友人や家族に話を聞くと、同じような傾向があったかどうかの参考になります。

また、以前の彼女と別れた理由を聞いてみるのも一つの方法です。過去の恋愛でも信頼に関わるトラブルがあった場合、今感じている違和感と重なる部分が見えてくるかもしれません。

嘘を記録して傾向を分析する

彼の嘘に振り回されてつらいと感じるときは、記録をつけてみるのも有効です。

どんな場面で、どのような嘘があったのかを具体的に書き出すことで、傾向や共通点が見えてくることがあります。

たとえば、「責められそうなとき」「自分をよく見せたいとき」など、嘘の背景にある心理や状況を冷静に見つめやすくなります。

客観的に整理することで、自分の気持ちや今後の向き合い方を考える手がかりにもなります。

信頼できる第三者に相談してみる

自分ひとりで彼の言動を受け止め続けていると、気づかないうちに心が疲れてしまいかねません。

信頼できる友人や家族に相談すると、自分では気づかなかった視点を得られる可能性もあるでしょう。

また、恋人への伝え方や距離の取り方について、安心して話せる相手がいるだけでも気持ちが整理され、心の負担は軽くなります。

彼氏の嘘への対処法と付き合い方

外の光が少し入る薄暗い日やで、女性が男性をじっと見つめて首に手を回している

彼の嘘に戸惑いながらも、関係を続けたいと感じている人もいるでしょう。

ここでは、自分の心を守るための距離の取り方や、気持ちの伝え方、必要に応じて専門家に相談する方法についてご紹介します。

心のダメージを減らす境界線の引き方

彼の言動に振り回されすぎないためには、あらかじめ自分の中で「ここまでは許容できる」「これは無理」といったラインを意識しておくことが大切です。

たとえば、お金や生活に関わる話はしっかり確認する、深追いしない話題には踏み込まない、など自分を守るルールを決めておくと、心の負担が軽くなります。

長く付き合っていくためには、無理をしすぎず、安心できる距離感を保つ必要があります。

嘘はつかないで欲しいと素直に伝える方法

彼に「嘘をやめてほしい」と伝えるときは、責めるような言い方ではなく、自分の気持ちに焦点を当てるようにしましょう。

たとえば、「嘘をつかれると悲しくなる」「本当のことを知っていたい」といった伝え方なら、相手も受け止めやすくなります。

また、感情的になりそうなときは、あえて時間をおいてから話すのも一つの方法です。落ち着いたタイミングを選ぶことで、対話がしやすくなります。

専門家と治療への繋げ方

嘘の背景に、不安や生きづらさなど本人の内面の課題がありそうな場合は、無理のない範囲で専門家の力を借りることも検討してみましょう。

ここからは、彼にどう声をかけるか、どのように受診につなげていくかの具体的なステップをご紹介します。

ステップ1. 彼氏に素直に打ち明ける

まずは、彼の嘘に戸惑っていること、自分がどう感じているかを、責めずに伝えてみましょう。

「最近、少し心配になることがあって……」「私との関係を大切に思ってくれているのは伝わってるよ」といった前置きがあると、彼も話を受け入れやすくなります。

「一緒に解決の方法を考えたい」「あなたが少しでも楽になれるように力になりたい」と伝えることが、彼にとって安心感につながるケースもあるでしょう。

信頼関係を保ちつつ、彼の不安や悩みに寄り添いたいという姿勢を示すことが大切です。

ステップ2. 精神科を予約する

彼が納得し、受診に前向きになってくれたら、通いやすい医療機関を一緒に探してみましょう。

「◯◯駅の近くにあるクリニック、口コミが良かったよ」など、具体的な情報を共有すると、彼も一歩を踏み出しやすくなります。

初診は予約が必要な場合が多いため、事前に確認しておくと安心です。

ステップ3. 精神科で診察を受ける

診察当日は、彼が希望すれば付き添ってあげると安心です。問診では、嘘をつくことへの不安や、それに伴う心の不調などについて話してもらえるようサポートしてあげてください。

専門家の視点で原因が明らかになることで、これからの向き合い方や治療の方針も見えてくるでしょう。

嘘をつく彼氏との恋愛では自分を見失わない関係を目指そう

嘘をつかれると、信じたい気持ちと疑う気持ちの間で心が揺れ動くものです。彼の言動にモヤモヤを感じながらも、関係を続けたいと願うなら、自分の心を守る工夫が必要です。

まずは、どこまで許容できるかのラインを自分の中で決め、無理をしすぎない距離感を保ちましょう。そのうえで、嘘に対する素直な気持ちを伝えたり、必要であれば専門家の力を借りたりすることも選択肢に入れてみてください。

彼の問題をすべて引き受ける必要はありません。あなた自身の心がすり減ってしまわないように、自分を大切にできる関係性を目指していきましょう。

この記事を書いた人

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高橋マキ

看護師歴28年の経験と、フェムテックシニアエキスパート(日本フェムテック協会1級)の知識を活かし、女性の"からだと心"に寄り添う記事を執筆しています。妊活・更年期・PMSなどの医療テーマから、恋愛や心理にまつわる内容まで、「正しく、わかりやすく」を大切に情報を届けています。

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